キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループ全体のITソリューション事業の23年度(2023年12月期)売上高は、前年度比11%増の2689億円と大きく伸びた。大企業向けのITソリューション事業が同12%増の1600億円と伸びたことに加えて、23年10月に年商約80億円のSIerのTCS(旧東京日産コンピュータシステム)をグループに迎え入れたことも売り上げを押し上げた。24年度(24年12月期)はTCSが通期で連結対象になり、既存のITソリューション事業も伸びる見通しであることから、グループ全体のITソリューション事業の売上高は同7.8%増の2900億円を見込んでいる。
ITソリューション事業の売上高のうち、映像やドキュメント、数理・需要予測、ローコード開発などグループの強みとなる特色あるビジネスは、23年度の270億円に対して25年度には450億円に伸ばす計画だ。23年度対比で1.7倍近く、金額にして180億円を2年弱で上積みしなければならないハードルの高さだが、キヤノンMJの足立正親社長は「(継続的な収益を見込める)サービス型の比重が高まっていることから後半に向けて伸びやすい」と手応えを感じている。
足立正親 社長
同様に情報セキュリティや、防犯カメラなどの物理セキュリティの事業領域は23年度の371億円に対して25年度は485億円、データセンター(DC)などを活用したITアウトソーシング事業領域は260億円から320億円へと後半に向けて大きく伸びるとの見通しを示す。
キヤノンMJは25年度までの5カ年で2000億円規模の成長投資を計画しているが、足立社長は、投資予算の執行が計画より「少し遅れている」との認識を示した上で、25年度に向けて「しっかり成長に向けた投資を行っていく」とした。直近ではTCSの買収のほか、23年6月に介護事業所向けの介護記録システム開発のケアコネクトジャパンに一部出資する資本業務提携、23年8月には小売店舗向けのAI映像解析に強みを持つAWLと同様の資本業務提携を行っている。今後は新規M&Aや出資、自社のITソリューション商材開発や人材育成、首都圏で運営している主力DCの3号棟以降の設備投資を視野に入れる。
こうした取り組みによって、25年度のグループ全体のITソリューション事業の売上高目標3000億円達成を目指す。
(安藤章司)