――2023年のビジネスを総括してほしい。
雰囲気としては悪くなかった。ただ、期待値が高かったこともあり、満足はしていない。業績は計画に対して予定通りに進んでおり、23年3月期第3四半期の数字では前年同期比で増収となった。そういう意味ではよいほうだ。
代表取締役社長 足立正親
ITソリューションの領域については、自信を持てる成長率となった。SIのほか、電子帳簿保存法やインボイス制度といった制度への対応で上乗せができ、セキュリティ領域でも非常に高い成長をみせている。
――今後のIT投資も堅調とみるか。
制度対応の部分は一過性の面があるものの、全体としてマイナスの方向に進むことはないだろう。現在、「保守・運用サービス/アウトソーシング」の事業を強化している。SIやセキュリティを含めたインフラ構築などを手掛ける中で、その後の保守・運用案件を獲得していきたい。外的要因に左右されない領域であり、安定的な収益基盤になると期待している。
パートナーが当社から仕入れたPCやサーバーを設置した後、コールセンター機能がなかったり、サポートが弱かったりする場合は、パートナーに代わって対応する取り組みを進めている。いずれはパートナー自身ができればいいが、リソースやスキルの問題もある。保守・運用の部分を(キヤノン側が)担うことで、パートナーとお客様のつながりが強くなり、いろいろな商流が生まれるので、いい結果につながるだろう。
――パートナービジネスの現状はどうか。
事務機系のパートナーがITにシフトすることは簡単ではなく、どう支援するかが課題だ。現在は、入り込みやすいセキュリティ領域から支援している。単純に応援販売するだけでなく、教育プログラムを展開しながら、成長を促しているところで、成果をあげている。伸び代は非常に大きいと期待している。ただ、ひたすらに手を掛ければいいという話ではない。手厚い支援も必要ではあるが、いかに自立して、自分たちで売れるようになるかが重要だ。
ビジネス機器は中堅企業に焦点
――ビジネス機器の展望は。
国内市場は伸びないとみている。一方で、出荷シェアでいえば、LBPはトップだがMFPは3位であり、伸ばせる余地がある。また、中堅層の企業に対しては、これまで注力していなかったこともあるため、強化を進めている。
――23年は8年ぶりに「Canon EXPO」が開かれた。
次世代の製品、ソリューションだけでなく、要素技術的な内容も多く打ち出した。2、3年先の話にはなるが、われわれがこれをどうビジネスにつなげていくかが問われることになるだろう。