イトーキとAIスタートアップの燈(あかり)は3月13日、生成AI共同開発契約の締結を発表した。燈の空間スキャン技術と、イトーキに蓄積されたオフィスデータを組み合わせて活用することで、オフィスデザインを瞬時にシミュレーションできる自動生成AIサービスの開発を進める方針。イトーキのオフィスデータを収集・統合・活用するためのプラットフォーム「ITOKI OFFICE A/BI PLATFORM」を基盤に展開する「ITOKI OFFICE A/BI SERVICE」の新サービスとしての提供を目指す。
オフィスデザイン自動生成AIは、ITOKI OFFICE A/BI PLATFORMに蓄積されたレイアウトや家具、設備などのデータを基に、オフィスを自動でデザインする。また、燈の空間スキャン技術を活用することで、オフィスのデジタルツインを構築し、オフィスデザインを瞬時にシミュレーションすることができる。これにより、時間や工数がかかっていたアナログ作業を効率化できるという。
イトーキ 湊 宏司 社長
従来、オフィスデザインには、現場の調査や要件の整備、デザイン作成、関係者との打ち合わせなど、早くても1カ月ほどの時間を要していた。オフィスデザイン自動生成AIを活用することで、1時間まで短縮することを目指しているという。具体的には現場の確認や実測の際、空間スキャンで家具の種類やレイアウトを把握したり、デジタルツイン上でシミュレーションしたりすることで、家具の種類や内装のテイストなどをわかりやすく伝えたりすることができるようになると説明した。
自動生成AIサービスに関して、イトーキの湊宏司社長は「なるべく早い提供を目指す。夢物語ではなく、確実に提供が視野に入ってきている」述べた。まずはイトーキの社内で実際に使ってみることで、現場で使えるかどうかを確認し、どの程度のサービスレベルを目指すのかについて検討する。
現在イトーキは「Office3.0」を掲げ、オフィス家具のIoT化と空間センシングによって、データドリブンで、最適な働き方やオフィス空間を提供するサービスの開発に注力している。2月にはITOKI OFFICE A/BI SERVICEの第1弾として、コンサルティングサービス「Data Trekking(データ・トレッキング)」の提供を開始した。今後は協業を通じて、ITOKI OFFICE A/BI PLATFORMと燈の独自AI群「Akari Module」を掛け合わせ、さらなるオフィスワーカーの生産性向上に挑戦する。
(大向琴音)