イトーキはデータを活用したオフィス向けコンサルティングを本格化させる。オフィス運用を支援するアプリケーションと、データを集約・連携するプラットフォームを組み合わせ、働く環境の改善につなげる。アプリや基盤を含めたソリューション群の総称を「ITOKI OFFICE A/BI SERVECE」とし、2月14日に第1弾となるコンサルサービス「Data Trekking」を発表した。センシングデータなどを基にオフィスの構築・運用をサポートする。今後もアプリやサービスを拡充し、AIの導入も計画している。湊宏司社長は「生産性の高いオフィスをデータドリブンで提供できる仕組みをつくりたい」と意気込んだ。
湊宏司社長
同社は同日発表した2026年までの中期経営計画で、オフィスDX事業を「Office 3.0領域」と位置づけ、重点戦略に設定している。既存事業であるオフィス器具を中心としたプロダクト販売、働き方コンサルティング、オフィス空間デザインに、データによるオフィス運用サポートを掛け合わせてビジネスを拡大したい考えで、26年にデータソリューション事業の売上高30億円を目標とする。
Data Trekkingはオフィスの新築・リニューアル時の活用を想定する。ビーコンによる位置情報を活用して、個人の活動状況を可視化するアプリ「Workers Trail」と、アンケート型調査で組織と個人の状態を把握する「Performance Trail」の2手法を主に組み合わせてデータを取得し、専門チームによる分析を経て、具体的な施策に落とし込む。
具体例としては▽社内スペースの滞在回数・時間▽特定ユーザーによるスペース占有率▽会社へのエンゲージメントが高い従業員のスペース利用傾向▽オフィス内で集まりやすい属性傾向─などが分析対象となり、スペース稼働率の向上や社内交流の促進、従業員エンゲージメントのアップなど、顧客の課題に応じた解決策を提言する。個人データはIDに置き換え、特定できないかたちで利用する。
同社はオフィス改善市場について、データの収集・可視化までを手がけるプレイヤーは多いとしたものの、専門家による評価・施策立案・実装までを一気通貫で行える企業は少ないとみており、市場での差別化を図れると見込む。
販売に関しては、ハイタッチによる直販からスタートする方針だが、将来的には既存代理店による間接販売、新たな販売パートナーの開拓も視野に入れている。
湊社長は「生産性を高めるために、アジャイルに進化し続けるオフィスをつくることが、われわれの究極の目標だ」と述べ、サービスの磨き込みに意欲を示した。(藤岡 堯)