オフィス家具メーカーのイトーキは6月9日、オフィス環境改善ソリューションについて記者説明会を開いた。コロナ禍を経て企業のオフィス回帰が進む中、イノベーションを生み出すための快適な「スマートオフィス」や、社員のデータを収集してパフォーマンス向上につなげるクラウドサービスなど、働くのに最適な環境を提案していく。
長尾和芳 常務執行役員
2023年の新製品のコンセプトとして、ハイブリッドワークが主流となる中、オフィスと在宅の人の一体感をつくる「共働」、創造性を高める行きたくなるオフィス空間の「共創」、SDGsを意識し人にも環境にも優しい「共生」の三つを紹介。常務執行役員の長尾和芳・スマートオフィス商品開発本部長は、「コロナを経て、働く環境に求めるものが変化した。働く人の気持ちをポジティブにし、生産性が高まる環境を提案したい」と述べた。
オフィス家具の新製品としては、会議を会議室と在宅のハイブリッドで行う際に、参加者の一体感を高められるよう設計した半円形の会議用テーブル「Panora(パノラ)」を紹介。同社が首都圏の2000社を対象に行った調査によると、会議のうち82%がWeb会議で、不便や不満を感じた点として「参加者の様子が分からない」「相手の反応が分からない」といった声が多かった。これらのニーズに対応するため、PanoraはWeb参加者も含め全員の顔が見えコミュニケーションが円滑にできるようにしている。発売は8月。このほか、居心地の良さを高める目的でオフィスの木質化を提案。木製のパーティションを秋に発売する。
また、データ分析のクラウドソリューションも展開。社員の働き方と働く場所の運用状況を可視化し、より生産性が高まる配置への変更を提案するもので、生産性を数値化したデータや、オフィス空間の稼働率などを収集、AIが分析の上、同社のコンサルタントが改善案をフィードバックする。
販売戦略としては、直販と代理店経由の両方のルートで拡大を目指す。「オフィス改修の需要は高く、コンサルティングの依頼が多く寄せられている」(長尾常務執行役員)といい、各企業の状況に合った製品やサービスを提案していくとした。
(堀 茜)