米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の日本法人AWSジャパンは、国内パートナーに対する「AWS Marketplace」の訴求を強化する。パートナー、エンドユーザー双方の利便性を高める機能の充実に加え、国内向けの法制度や商慣習への対応も進めており「いろいろな意味で準備が進み、(普及への機運が)醸成されてきた」(執行役員の渡邉宗行・パートナーアライアンス事業統括本部事業統括本部長)。パートナーに新規顧客の開拓が見込める点を周知するとともに、調達や支払いの効率化といったユーザー側のメリットへの理解も促し、出品、利用の両方を後押ししたい考えだ。
(藤岡 堯)
AWSジャパン 渡邉宗行 執行役員
AWS Marketplaceは、サードパーティー製ソフトウェアやプロフェッショナルサービスを「Amazon Web Services」上で検索・購入・デプロイできる仕組み。ISVやSIerらが自社開発したプロダクトを販売できるほか、パートナーを通じた間接販売が可能なプログラムも用意されている。
米AWS マット・ヤンチシン General Manager
Marketplace自体は以前から存在したが、近年、米本社が機能拡充への投資に注力している。セキュリティー面の強化やSaaS製品のデプロイを自動化できる「クイックローンチ」、販売者向けの分析ダッシュボードの提供など、より使いやすいシステムとして洗練されつつある。各国の税制への対応も進めているほか、契約や請求書発行などの商慣習、通貨、言語などへの対応も進めている。3月15日に都内で開かれたパートナー向け年次イベント「AWS Partner Summit Japan 2024」の基調講演に登壇した米本社のマット・ヤンチシン・General Manager for AWS Marketplace & Partner Servicesは「Marketplaceの国際的な拡大は最優先事項だ」と強調した。
間接販売では、「コンサルティングパートナープライベートオファー」(CPPO)というプログラムを利用することで、販売パートナー側のサービスやサポートと組み合わせて提供したり、再販用の価格設定が可能となったりする。ヤンチシン・General ManagerはCPPOでの販売が伸びていると述べた上で「(日本の)皆さんの多くはリセラーを通じた購入を望んでいる。この点でもMarketplaceは秀でている。Marketplaceでも顧客は販売パートナーとの関係を維持できる」と訴えた。
生成AIでも協力進める
基調講演では生成AIに関する取り組みも多く紹介された。渡邉執行役員は、2023年10月に東京リージョンで提供を開始した「Amazon Bedrock」について、「パートナーによる生成AIを活用したソリューション開発が急速に進んでいる」とアピール。生成AI領域で、AWSジャパンがパートナーと協力できる分野として▽顧客へのインテグレーション▽パートナーのテクノロジーとの組み合わせ▽開発自体への利用▽内製化支援─を挙げた。
3月6日(米国時間)には、パートナーを評価する「AWSコンピテンシー」の新しい分野として「AWS Generative AIコンピテンシー」が発表され、ローンチパートナーとして、日本からは唯一、野村総合研究所が認定を受けている。