サイボウズは4月11日、メディア向けにセミナーを開催し、石川県内で最大震度7を観測した能登半島地震での支援内容について説明した。官民両面への取り組みで被災地を支えた知見を生かし、将来的に起こり得る災害にITを活用して備える姿勢を示した。
同社は、政府や自治体、民間企業からの依頼を受け、システムを提案したり、システム構築の支援体制を組むことができるパートナーとのマッチングを調整したりした。
柴田哲史 リーダー
このうち、自衛隊との連携システムでは、ノーコードツール「kintone」を活用し、避難所の情報や避難者がいる地域、通信状況、必要な物資などの情報を登録できるようにして情報の集約と見える化を図った。
また、1.5次避難所で避難を続ける要介護被災者への支援強化を目的に、厚生労働省や同県と連携し、避難所への介護士派遣の調整やチェックイン管理ができるシステムも構築した。
被災地では、民間支援団体からの要請も多く寄せられた。炊き出しなどのボランティアの受け入れ調整システムや、福祉施設と支援団体の情報共有システムなど、さまざまなシステム構築にアジャイルで取り組んだ。
今後の災害に向けた取り組みとして、1.5次避難所の介護支援システムを流用した避難所支援者派遣システムの実証実験を開始している。
首都直下型地震への備えも進めており、ソーシャルデザインラボ災害支援チームの柴田哲史・リーダーは「能登半島地震で得た知見を生かし、今後どのように連携していくのかについて、東京都や(災害時におけるIT支援に係る協定を結ぶ)東京都調布市と話し合っていく」と述べた。
(大向琴音)