SmartHRは7月1日、記者会見を開き、情報システム領域に参入すると発表した。企業のクラウドサービスの利用が増加することを見越し、まずは人事労務SaaS「SmartHR」でID管理に関する機能を提供する。
ID管理については、ユーザーの認証情報を管理する「IdP(Identify Provider)機能」を今夏にリリースし、SmartHRのアカウントでログインするだけで外部サービスにログインできるようにする。2023年にメタップスホールディングスから事業承継した「メタップスクラウド」の知見やノウハウを基に開発を進めている。
芹澤雅人 CEO
IdP機能を提供した後の機能拡張も計画しており、SmartHRのアカウントを用いた外部サービスのアカウントの作成のほか、入社、退職といった従業員のライフサイクルに合わせた自動化機能などの提供を視野に入れる。
情報システム領域に参入するのは、不足しているIT人材の1人当たりの生産性向上を図るのが狙い。芹澤雅人CEOは「従業員データを中心に、全ての業務がつながる姿を目指す」と強調。安達隆・CPOは「お客様の実際の声を基にプロダクトを開発している。バックオフィス領域でわれわれがバリューを出せる領域については広げていく」とし、さらなる領域拡大に向けて意欲を見せた。
安達 隆 CPO
24年は計八つの新機能の提供を予定しており、今夏以降は従業員と労務の領域の機能も拡充する。従業員領域では、申請業務や社内のお知らせの確認、外部サービスへのログインなどの入り口となる「従業員ポータル」を今秋から利用できるようにする。労務領域では、「勤怠管理機能」を追加し、作業負担の軽減と従業員の利便性向上を目指す。
同日の記者会見では、カナダの年金基金であるオンタリオ州教職員年金基金と米大手投資会社のKKRをリード投資家とする第三者割当増資などで計約214億円を調達したことも発表した。
(大向琴音)