ラクスは7月1日、バックオフィス向けSaaS群「楽楽シリーズ」の新製品として、請求書受領の電子化サービス「楽楽請求」の販売を開始した。インボイス制度の開始をきっかけとした受領側の経理業務における負担増を背景に、電子化へのニーズは高まっていることから、楽楽シリーズの顧客基盤、認知基盤を活用し、顧客の取り込みを進める構えだ。提供は10月1日を予定する。
楽楽請求は請求書の受領から社内の申請承認、経理による支払処理、会計処理、保管といった受領後の一連の業務をカバーする。メールで送られた請求書は指定アドレスの利用で自動で取り込め、紙はスキャンによって一括でデータ化できる。請求書ごとの仕訳は自動化され、会計システムに連携するデータ、支払処理を行うための振込データもワンクリックで作成できる。適格請求書発行事業者の登録番号を読み取って、国税庁のデータベースと自動で照合する機能も備える。
領収書受領の領域は、競合が先行するが、同社の調査によると、請求書受領に特化したサービスを導入する企業は約2割強にとどまっている。同社は経費精算の「楽楽精算」、請求書発行の「楽楽明細」と合わせ、業務フローを一気通貫で支援できると強調。経理領域の製品で培ってきた導入・運用・定着の支援体制で優位性を示す方針だ。価格は月間請求書処理件数が100件以下で月額35000円からで、主ターゲットである中堅・中小企業が使いやすい価格設定にしたという。
同じ領収書領域で重なる楽楽明細と別サービス化した点について、執行役員の吉岡耕児・楽楽クラウド事業本部本部長は「請求書の受け取りは、発行だけでなく、経費精算の文脈からも関わることが多い。より広くニーズを獲得するためにも別サービスとした」と説明。目標として導入社数1位、ARR100億円を掲げる。
吉岡耕児 執行役員
今後の楽楽シリーズの展望として、吉岡執行役員はAI活用などに注力するとし「バックオフィス、経理領域で圧倒的なナンバーワンブランドに進化を続けたい」と話した。7月1日には「楽楽給与明細」の提供を開始し、2025年4月には入金管理でも新たなサービスを立ち上げる予定だ。
(藤岡 堯)