内田洋行は9月3日、第16次中期経営計画の最終年度にあたる2024年7月期(23年7月21日~24年7月20日)の連結決算を発表した。売上高は前期比12.7%増の2779億4000万円、営業利益は10.8%増の93億4500万円で前期に続いて増収増益。GIGAスクール構想を受けて過去最高だった21年7月期の売上高2910億3500万円、営業利益103億6300万円に次ぐ業績となった。大久保昇社長は「成長のベースラインをアップできた」と評価した。
第16次中期経営計画で掲げていた売上高2200億円、営業利益60億円を大きく上回った。純利益は9.9%増の69億9600万円で過去最高だった。事業分野間でのスキルや技術、リソースの共有といったグループ再編による競争力の向上に関する取り組みが奏功し、大久保社長は「構造改革の効果が出た。仕組みとして効率的に稼げるようになってきている」と説明した。25年7月期は売上高3000億円、営業利益100億円を見込む。
大久保 昇 社長
今後はグループ各社のリソースなどの共有も進める方針で、大久保社長は「グループ共通の販売管理システムなどの導入も計画通り進めており、従来に比べ連携が容易になっている。ノウハウなどの共有に加え、必要となればフレキシブルな体制が取れるようにする」と話した。
セグメント別の業績では、情報関連事業がけん引し、売上高は22.8%増の1396億5700万円、営業利益は20.7%増の44億500万円だった。大手企業向けの「Microsoft 365」などのライセンス契約が伸長したほか、クラウド環境の構築や生成AIに関する商談も増加。中堅・中小企業向けでは、食品業界の顧客を中心に、インボイス制度に対応するためのシステムのプログラム改修が好調だった。
公共関連事業の売上高は0.3%増の809億4900万円。営業利益は、研究投資の影響で販管費が増大し、11.8%減の30億2200万円に。自治体・官公庁向けでは、前年の大型案件の反動や、地方自治体の基幹システムの標準化案件の開始が、政府の指針策定の遅れによって来期以降にずれ込んだことも影響した。ネットワーク強化などで教育分野の大型案件を獲得したほか、大学市場が好調だった。
オフィス関連事業は、オフィスの増床や移転、R&D部門のオフィスリニューアル案件が拡大し、売上高は10.2%増の563億600万円、営業利益は51.2%増の16億2000万円だった。(大畑直悠)