セキュリティー製品ベンダーのフィンランドWithSecure(ウィズセキュア)は10月31日、国内のパートナー企業を招いたイベント「パートナーエグゼクティブセミナー」を長野県内で開催した。グローバルで展開しているリセラー向けパートナープログラムを、国内で2025年1月に開始することを説明。プログラムの活用によって販売拡大を目指してほしいと呼びかけた。
ウィズセキュアのパートナーセミナー=長野県軽井沢市のホテル
同社のリセラー向けパートナープログラムは、グローバルで約7000社が参加している。国内での展開にあたり、日本の商習慣に合わせたかたちに調整した上で開始する。年間の取引額などに応じて、パートナーをプラチナムやゴールドなど4段階で認定。製品情報の発信、営業やマーケティング、技術面での支援などを提供する。日本法人の藤岡健社長は、セミナーでプログラムの内容について説明し「ファンドを出し、(ウィズセキュアとパートナーの)共同でプロモーションも行いたい。よりビジネスを拡大するために活用してほしい」と述べた。
ウィズセキュア日本法人の藤岡健社長
藤岡社長は、国内でのビジネス状況についても報告。新規ビジネスが昨年比2.25倍に伸びているといい、「当社のパートナービジネスは安定的に成長し、新規ビジネスをけん引している。パートナー企業のみなさんがお客様に適切な提案をしている結果だと思っている」と手応えを語った。
製品面のアップデートについては、システムのぜい弱性の有無を継続的にスキャンし、攻撃を未然に防ぐための新サービス「Exposure Management(エクスポージャー・マネジメント)」が、10月に日本語対応を開始し、現在一部パートナーがテスト段階であることを紹介。近く提供を開始するとした。
アンティ・コスケラCEO
セミナーでは、フィンランド本社のアンティ・コスケラCEOが、同社のビジネス戦略について語った。同社が中堅・中小企業を主なターゲットとしている理由について「(他社の)多くのサイバーセキュリティー製品は大企業のニーズに沿っていて、中堅・中小に合うものが必要とされている」と解説。サイバー攻撃は自動化されており、企業は規模の大小を問わず危険にさらされているため、中堅・中小企業向けのセキュリティー製品への需要は強いとの見方を示した。同社製品は、セキュリティーに専任の人材を置くことが難しい企業でも、管理運用にAIを活用することで省力化が図れることが強みだとして「日本の企業の99%が中小企業であり、大きなチャンスがある」と展望した。
コスケラCEOは、日本法人開設から25年を迎えたことに触れ、「美しいシンプルなものを好み、人を敬う文化があるなど、日本とフィンランドには共通点があり、当社の製品は受け入れられている。この先のビジネス成長にも大いに期待している」と述べた。
(堀 茜)