東京エレクトロンデバイスでIT製品・サービスを取り扱う「コンピュータシステム関連事業」が堅調に推移している。2030年3月期までの5カ年中期経営計画で掲げている経常利益率12%の水準を維持しつつ、24年4~9月期の売上高は前年同期比23.2%増を達成。通期では前年度比10.1%増の363億円を見込んでいる。同社が独自に培ってきた目利き力で、欧米やイスラエルなどから仕入れた先進的なIT機器やソフトウェアを選別し、国内SIerやユーザー企業の需要を満たしていることが好業績を支えている。
右から徳重敦之社長CEOと宮本隆義専務
同社のコンピュータシステム関連事業はネットワーク機器やストレージ製品、セキュリティー関連などIT基盤領域の海外製品の取り扱いを強みとしており、「3年先の国内需要の見通しや仮説を立てて、海外ITスタートアップ企業を含めた製品動向を見定め、人材の育成に努めている」(宮本隆義・コーポレートオフィサー執行役員専務CNBU BUGM CN営業本部本部長)ことが優位性、利益率の高さにつながっているという。スタートアップ企業の約8割は大成しないと言われる中でも、リスクをとって積極的に製品評価を行っている。
また、ランサムウェア攻撃が猛威を振るう中、ユーザー企業からは「攻撃を受けてシステムが停止してからどれくらいの時間で正常復旧できるのかの復元力を具体的に求められることが増えた」(同)という。同社では複数の製品を組み合わせて復旧ソリューションの設計を行うとともに、運用保守サービスの提供にも力を入れている。
取り扱い製品の上期の販売先を業態別に見ると、SIerが全体の47%、データセンター事業者が21%、一般企業が21%、通信事業者が11%をそれぞれ占めた。25年度から始まる次期中計では30年3月期までにコンピュータシステム関連事業の売上高を450~525億円に増やした上で「経常利益率12%の堅持」(徳重敦之・社長CEO)を目標に掲げ、規模拡大と収益力を両立させていく方針を示している。
(安藤章司)