米Cisco Systems（シスコシステムズ）日本法人は1月22日、事業戦略説明会を開き、国内におけるセキュリティー事業の売上高を今後3年で2倍に拡大する目標を示した。2024年3月に買収を完了した米Splunk（スプランク）との製品統合などを主軸に実現を目指す。濱田義之社長は「顧客からのニーズも多く、引き合いも多く生まれる中で、効率的にセキュリティー製品を提供したい」と意気込んだ。
（大畑直悠）
 
　スプランクの買収後、製品面ではオブザーバビリティー製品「Splunk Observability Cloud」とアプリケーションパフォーマンス管理製品「AppDynamics」の統合を進めたほか、SIEM（Security Information and Event Management）製品の「Splunk Enterprise Security」と脅威インテリジェンスリサーチチームである「Cisco Talos」、XDR（Extended Detection and Response）製品「Cisco XDR」の連携を推進。顧客のサイバーレジリエンスの強化を支援している。


　説明会にはスプランク日本法人の野村健社長も登壇し「買収完了後、イノベーションはこれまでよりも加速している」と説明。顧客のデータ量が増加していることからワークロードに応じた新しい課金体系も用意するとした。

　パートナー戦略では、26年2月から開始する新しいパートナープログラム「Cisco 360 Partner Program」とスプランク日本法人のパートナープログラムの統合を図る方針も打ち出した。野村社長は「既存の顧客に対してパートナー同士が無用なコンペティションにならないように配慮したい」と話した。

　シスコ日本法人では、AIに対するセキュリティー製品の提供にも力を入れる。3月1日に米国と日本市場でAIアプリケーション向けのセキュリティー製品「AI Defense」を先行リリースし、24年9月に買収した米Robust Intelligence（ロバストインテリジェンス）などの技術を使ってセキュアなアクセス制御やリアルタイム検出といった機能を提供する。濱田社長は「企業によるAIの活用を包括的に保護し、AIの民主化を支援する」とし、25年中にさらに三つのAI関連のソリューションを提供することも明かした。

　サイバーセキュリティーに関するCoE（Center of Excellence）の本格稼働と専任のセキュリティーアドバイザーの着任を紹介したほか、Cisco Talosのジャパンチームが間もなく動き出すことや製品サポートチームの強化も発表した。濱田社長は「当社はルーターやスイッチのネットワークカンパニーというイメージが強いが、セキュリティーをテーマにした問い合わせも増加している」とアピールした。

　濱田社長は中小企業向けのビジネスにも言及し、「パートナーとの協業が注力ポイントになる。それぞれのエリアのパートナーを支援する人員を配置し、エンドユーザーに当社の製品や技術がしっかりと届くようにする」と力を込めた。