情報サービス産業協会(JISA)は、2024年10月に公表した「生成AI技術の社会的活用にかかる提言」のアクションプランを4月15日に発表した。生成AIを活用できる人材の育成を柱とし、これまで培ってきた情報技術にAI活用のスキルを加える「+AIスキリングによる価値創造エンジニアへの転換」をアクションプランの筆頭に掲げる。
急速なAIの進化によって、近い将来ソフトウェア開発や保守運用の一部をAIが代替するようになる可能性が高い。人月単価によるエンジニアの価値評価のままでは、AIに代替した部分の売り上げや利益を失うことにもなりかねない。今回のアクションプランではAIによる自動化を見越した上で、労働集約型から価値創造型のビジネスモデルに転換するための人材育成を主眼に置く。
福永哲弥 会長
福永哲弥会長(SCSK参与シニアフェロー)は、システム運用を例に挙げ「AIでシステム運用や保守の業務が自動化されたとき、(人月単価に依存したままでは)その価値はゼロになってしまう」と危機感をあらわにする。ユーザー企業の基幹業務や重要な社会システムを支えるITの運用保守をAIが行うからといって「価値がゼロになることはない」と訴える。
むしろ「生成AIの登場によって価値創出の議論を深める環境が整った」と捉え、長年続けられてきた脱人月単価の議論を深め、現状を変えていく絶好の機会と捉える。アクションプランでは情報サービス業界のエンジニアのAI活用スキルの習得を後押しする政策を打ち出すとともに、ユーザー企業などの発注者との共創による価値創出への変革を推進。価値ベースの契約に転換するための契約書のひな形の作成や、発注者への啓発、働きかけに取り組んでいく。
(安藤章司)