グーグル・クラウド・ジャパンは8月5、6日の両日、年次イベント「Google Cloud Next Tokyo '25」を開催した。基調講演ではAIエージェントプラットフォーム「Google Agentspace」をはじめ、開発や活用などAIエージェントのあらゆる局面をカバーするソリューションを披露。AIエージェントに注力する製品戦略を打ち出した。
 
　平手智行・日本代表はAIエージェントがもたらす価値について▽ツールを横断した能動的な情報収集▽エンドツーエンドの業務代行▽スキルや人材不足の解消ーを挙げ、企業規模にかかわらずビジネス変革に結びつくと主張。「（AIに最適化された）Google Cloudを活用することでAI投資に対する価値実現までの時間短縮を図ることができる」と説明した。

　Google Agentspaceは、自然言語による指示をもとに、社内データの横断検索やタスクの実行を複数のエージェントが自動で行う。エレベーター管理会社のデモンストレーションでは、緊急度の高い保守案件を抽出するよう指示を受けると、順を追っていくつかのエージェントを呼び出し、整備担当者へのアサインまで完了した。AIを単なるツールではなく“協業”相手と位置付けた事例だ。

　このほか、開発者向けにはエージェントシステムを簡単に構築するためのオープンソースフレームワーク「Agent Development Kit（ADK）」を提供。エージェント間のコミュニケーションを促進する「Agent2Agent（A2A）」を活用することでマルチエージェントの環境を実現する。セキュリティーやプライバシーに配慮したAI活用のニーズに対しては、オンプレミス環境にクラウド機能を拡張する「Google Distributed Cloud」上でのGemini利用が可能になった。データウェアハウス「BigQuery」などデータベース分野でもAI機能を拡張した。

　生成AIモデル「Gemini」に関しては、最新モデルの一つ「Gemini 2.5 Flash」が東京リージョンでリリースされたと明らかにした。透明性の高い段階的な推論が特徴という。

　Google Cloudの国内の「AIエージェントパートナーエコシステム」にはSIerなどが参画し、AIエージェントの導入や独自AIの開発など顧客へのデリバリーを推進している。平手代表は「パートナー企業と緊密な連携を行い、お客様により大きな価値をもたらす取り組みを進めている」と強調した。
（春菜孝明）