──2024年はどのような年だったか。
生成AIのブームがけん引したということは間違いなく、それによって、さらにデータ活用が大きく躍進した1年だった。パートナーと顧客と共に、いい取り組みができた。
平手智行
日本代表
──生成AIを取り巻く流れについてどのようにみているか。
生成AIを試すフェーズから使うフェーズへと動いた。特に24年の後半には、企業として責任を持って、コア業務に生成AIを組み込んで使うところまで進んだ。社内検索を便利にする段階は終わり、コア業務に組み込んで、責任を持った企業がその顧客やマーケットに向けて使い始めていると感じる。当社の事例としても、生成AIで具体的に業務がどう変わるのかに関するポジティブな取り組みも多く出てきている。
海外の成功事例を基に日本の顧客を守る
──生成AI「Gemini」に関する取り組みの手応えは。
Geminiには四つの要素がある。テキストだけでなく、音声や画像、動画などを認識して答えてくれるマルチモーダル。二つめはロングトークン。三つめは事実性(責任ある回答を事実として提示し、その答えを立証できること)への対応。四つめはセキュリティーだ。セキュリティーについては「生成AIで守る」と「生成AIを守る」の2種類が存在するが、生成AIを守る取り組みは日本ではなかなか始まっていないのが現状だ。
生成AIにおけるセキュリティー強化は待ったなしだ。現在、まだ日本中が生成AIのセキュリティーまで気が回っていない。これからパートナーと取り組まなければならないのは、エンドユーザーのセキュリティーを生成AIで強化することと、ユーザーがつくった生成AIを守ることだ。日本ではITベンダー側にも提案する体制が整っていないので、みんなで意識を高めていかなければならない。海外での成功事例が多くあり、それをベースに日本の顧客を守っていきたい。当然、セキュリティー以外にもマルチモーダル、ロングトークン、事実性への対応も必須だ。この四つの領域をパートナーと共に進めていくことは25年の戦略の“ど真ん中”となる。
──パートナーへのメッセージを。
生成AIの時代に入って、新しい日本の未来を一緒につくる時が本当に来た。われわれITベンダーはこれまで、従来の技術で今まであったプロセスを便利にしてきたが、これからは今までになかったプロセスをつくるということだ。生成AIを引き金に、データ活用が顧客の中でより具体的な課題になっているので、顧客の業務変革につなげる提案を共にしていきたい。各パートナーの発展のために、一緒にサーティフィケーション(認定制度の認定資格者数)や契約数を増やし、売り上げを拡大する流れを加速させたい。