ウイングアーク1stは8月26日、電子文書の信頼性を確保するデジタルトラストサービス「Trustee」の提供を開始した。第1弾として、1秒間に1000件以上の文書に対応できる国内最速のタイムスタンプ機能「Trustee タイムスタンプ」を開発した。無防備なPDFの流通によるセキュリティーリスクへの対策を目的とする。主な対象は大量の文書発行が想定される大企業で、業種は金融、保険、証券、EC業界などを見込む。3年で1000社への導入を目指す。
島澤 甲 CTO
同日開かれた記者会見で、取締役の島澤甲・執行役員CTOは「電子帳簿保存法の改正により、文書の受領側でタイムスタンプを付与する運用が一般化したが、発行から受領までの間に改ざんされるリスクが残る」と指摘。生成AIの進化で電子文書の偽造や改ざんが容易になったことも、偽造文書問題の深刻化を助長する恐れがあるという。こうした課題を踏まえ、Trusteeは書類の受領時だけでなく、発行時にタイムスタンプを付与しやすい仕組みを提供する。
Trustee タイムスタンプは、同社の帳票作成・運用ツール「SVF」や電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent(インボイスエージェント)」、他社の帳票サービスにも組み込める。サーバーが不正侵入を受けても、不正なタイムスタンプ発行を防ぐ仕組みを備える。
最大の特徴は高速処理能力だ。多くのサービスが1~30秒に1回タイムスタンプを付与するのに対し、独自のPDF解析技術とシンプルな設計により、1000倍以上の効率を実現した。経理業務などで特定日に大量の文書を処理する場合も、リアルタイムでタイムスタンプを付与できる。
大量の文書への付与を前提として価格も抑えた。一般的な従量制プランが1スタンプあたり7~10円なのに対し、5円以下で提供する。利用量に応じたボリュームディスカウントも適用され、さらに安価になる。
また、日本初となる複数拠点・冗長化構成で高い可用性を実現した。東西複数拠点での並行稼働や、うるう秒対応の自動化により、タイムスタンプを付与できない時間を最小限に抑える。
Trusteeの第2弾としては、電子データの発行元を証明する「eシール」の提供を検討している。
島澤CTOは、無防備なPDFの流通やオンライン取引の急増、規制順守の必要性の高まりなどを背景に、デジタルトラストサービスの需要は今後さらに拡大すると見込む。2024年時点で約15兆円とされる世界のデジタルトラスト市場規模は、32年までに約34兆円に達すると予測。国内でも、18年に約50億円だった市場が30年には556億円規模に拡大するとの見通しを示した。
(南雲亮平)