ウイングアーク1stは、帳票作成の「SVF」や電子帳票流通プラットフォームの「invoiceAgent」など主要な自社製品で生成AI機能を利用できるようにする。開発中のSaaS連携ツール「dejiren」を全面刷新して、2024年11月から順次、外部の生成AIサービスとの連携を進める。生成AIを自社製品に取り入れることで、帳票や報告書の作成、受発注業務の高度な自動化の実現を目指す。
島澤 甲 CTO
同社では生成AIを文書や画像を生成する「生成型」と、物体や映像を認識する「認識型」の大きく二つに分類しており、「現時点では認識型のほうが業務用途で活用しやすい」(島澤甲・取締役執行役員事業統括担当兼CTO)。
例えば、補充したい商品の写真をAIで認識し、商品名や商品番号を記入した帳票を自動で生成。上長の承認を得た上で、調達先に見積依頼を送るといった用途を想定する。SVFやinvoiceAgentに生成AI機能を付与することで、社内承認書類の起票や、見積依頼までの一連の業務自動化を可能にする。
大畠幸男 部長
ほかにも製造業で自社製品の不具合が発生した際、当該製品の写真から製品名や製品番号、不具合の状況をAIが認識して帳票に自動的に反映したり、小売業で商品棚の写真を撮って商品の売れ具合をレポート作成に活用したりすることを想定している。現時点では「100%正確な認識は難しくても7~8割の自動化は可能」(大畠幸男・dejiren事業開発部部長)と、手作業で行っていた作業の大幅な効率化に役立てる。
dejiren経由で連携する生成AIは、米Microsoft(マイクロソフト)の「Azure OpenAI」、米Google(グーグル)の「Vertex AI」などを予定しており、用途に応じて最適なAIと連携させ、ユーザーはAIの種類を意識せずに使えるようにする。生成AIをSVFやinvoiceAgentといった帳票作成や受発注業務に組み込むことで、実用性の高いAI利用を実現していく。
(安藤章司)