IT機器向けの雷害・地震対策製品や、ネットワーク工事などの事業を展開する昭電は、会社設立60周年を迎えるにあたり、新たな企業メッセージ「価値あるX(クロス)を、確かな安全とともに。」を掲げ、ユーザーとの共創をさらに推進するとともに、設備の安全をより複合的に守るための製品展開を強化する方針を打ち出している。8月には顧客やパートナーが雷害対策製品の性能を検証できるテストラボをリニューアルオープンし、製品開発や提案活動を加速させる。
同社は1965年10月設立。落雷などによる異常電流から機器を保護する「通信用保安器」を電力会社向けに開発・納入し、雷害対策製品のメーカーとして成長。データセンター用のラック向け免震装置や、設備への侵入を検知する防犯システムなども手掛け、電気・情報設備の「総合安全企業」へと業容を拡大してきた。
太田光昭 社長
7月に行われた創立60周年記念式典で、同社の太田光昭社長は雷害対策、地震対策、ネットワーク、セキュリティーなどの各事業セグメントを紹介するとともに、「お客様が今困っていることが、(昭電のソリューションで)こうやって解決できるということをなるべく分かりやすくお伝えしたい」と述べ、2022年に新装したソリューションラボと、25年8月リニューアルオープンのテストラボを紹介。ソリューションラボでは、データセンターや電気設備で想定されるさまざまなリスクに対して包括的な対策を提案する。テストラボでは、「世界最大級」という雷インパルス発生装置を使用する試験を間近で見学可能なスペースを設け、顧客が製品の必要性や性能を体感できるようにした。
太田社長は企業メッセージの「クロス」に込めた意図を「これからはさまざまな方との繋がりから新しい価値を生んでいく」と説明。気候変動で高まる災害リスクに、より多角的な対策を提示していく考えを強調した。
(日高 彰)