グーグル・クラウド・ジャパンは10月9日、統合エージェントプラットフォームの「Gemini Enterprise」を発表した。AIモデルやAIエージェント、エージェントの構築や管理を行う機能などをまとめて提供し、企業の業務をエンドツーエンドで支援する。
グーグル・クラウド・ジャパン
寳野雄太・執行役員
Gemini Enterpriseは、米Google(グーグル)が提供するAIの機能を、ワークフローをわたって利用できるプラットフォーム。これまでは、個別のアプリケーション内にAI機能が搭載されていることが多かったが、Gemini Enterpriseを利用することで、さまざまなアプリケーションを横断して、AIエージェントを利用した自動化が可能になる。
Gemini Enterprise は、AIモデル「Gemini」に即座にアクセスできる「頭脳」、エージェントの構築や利用、オーケストレーションができる「ワークベンチ」、グーグル製のみならず、パートナー製も含めた専門性の高い「エージェント群」の三つのコンポーネントを備えている。
加えて、「Gmail」などのグーグル製品はもちろんのこと、「Microsoft 365」や「ServiceNow」「Salesforce」といった他社製のサービスにおけるデータを基にグラウンディングするため、AIエージェントが会社や個人ごとのコンテキストを理解した状態で適切に行動できるとの特徴がある。
そのほか、ローコード・ノーコードでAIエージェントを簡単に作成し共有できる「Agent Designer」機能を搭載する。グーグルのエージェントとしては、自然言語でビジネスユーザーが利用できるデータドリブンな洞察を提供する「データサイエンスエージェント」や、エージェントが自動的にコンテキストを踏まえてコーディングする「コーディングエージェント」も用意する。
これらも含めたGemini Enterprise上の全てのエージェントは、一つのダッシュボードから可視化や制御が可能で、ガバナンスも実現している。
同日開催した記者説明会で、グーグル・クラウド・ジャパンのテクノロジー部門の寳野雄太・執行役員は「開発者だけではなく、フロントラインで働いている人や通常のオフィスワーカーまで全て含めてGoogle AIの機能を使って業務を見直すためのプラットフォームがGemini Enterpriseだ」と述べた。
また、同日から高性能モデル「Gemini 2.5 Pro」の東京リージョンにおけるIn-process保護の提供開始も発表。これにより、データの保存だけでなくデータ処理も国内で完結させることができるようになった。(大向琴音)