グーグル・クラウド・ジャパンは9月1日、記者説明会を開き、JCOMのカスタマーセンターで同社が導入した生成AI活用事例を紹介した。JCOMが導入したのは顧客対応のオペレーターを支援する「JAICO」で、対応履歴要約の自動化などにより、月間1500時間の業務時間削減と年間3600万円のコスト削減が可能な効果を生んだという。履歴内容の均質化もでき、コール削減につながるコールリーズン分析に生かす狙いもある。
JAICOは、▽入電後に顧客の直近の接点などの情報を示す▽取るべき行動をレコメンド▽自動で通話履歴を要約▽通話後にオペレーターへ応対品質の評価ーをする機能を備えている。2024年7月から実装し、1000人以上のオペレーターが活用している。
JCOMの荒井平八郎・カスタマーリレーション戦略部部長は「(導入効果で)人員を削減するよりも、生まれたリソースを他の業務に配分したい。オペレーターの対応可能件数も増えたので、予算などの面で見直しができる」と評価した。
JAICOの構築はアイルランドAccenture(アクセンチュア)の日本法人がパートナーとして担った。深い顧客理解に基づくナレッジレコメンドなどを実現するため、アーキテクチャーには長文のデータ処理や複雑な推論が可能な「Gemini」、検索性能の高い「Vertex AI」と「BigQuery」を組み合わせた。
グーグル・クラウド・ジャパン
高村哲貴 データアナリティクスソリューションリード
グーグル・クラウド・ジャパンの高村哲貴・データアナリティクスソリューションリードは「これだけの規模で本番業務に活用し、ビジネス成果まできちんと創出している。省力化だけでなく、コールログという単一データからオペレーターの評価など、さまざまな価値を導きだしているのが先進的だ」と解説。「エージェントの支援があれば、データをより効率的に扱え、多くの人がデータサイエンスなどを行えるようになる」と意義を強調した。
(下澤 悠)