「窓の杜」というオンラインソフトを紹介するサイトを運営しながら、インプレスの執行役員PC編集統轄担当・小川亨統括部長は、「すべてがオンラインソフトに置き換わってしまうことはないのではないか」と言い切る。

オンラインの限界も

 小川統轄部長がこう言い切る要因はどこにあるのか。

 「店でパッケージソフトを手に入れることと、オンラインというのはやはり違う良さがあるものだと思う。どちらか1つしか、商品を手に入れる手段がなくなるということはない。店舗でパッケージ、オンラインでソフトを手に入れることの2つの選択肢があってしかるべきではないか。やはり、どうしてもパッケージを手に入れないとしっくりこない人もいるだろうし、逆にオンラインに利便性を感じる人もいる」

 オンラインでソフトを提供すると、検索機能があるので、店頭で販売するよりも目的のソフトに行き着き易く、店頭のように特定製品だけが売れ筋にはならず、たくさんのソフトにチャンスが与えられる、との意見もある。

 だが、「オンラインサイトでソフトを提供すると、逆に商品が埋もれてしまう。オンラインの世界というのは、目的をもった人には便利だが、目的をもっていない人にとっては、そこに行き着けない部分もある。もちろん、メールでもどんどん出して、誰でも目的に行き着くようなナビゲーションを積極的に行う方法もあるだろうが、それでもフォローできない部分はある。やはり、機械よりも人間が目の前でフォローした方が、きめ細かいフォローができるのではないか」と、オンラインの世界でのある種の限界を指摘する。

 実際に窓の杜にも様々な要望が寄せられている。

 「さすがにすべてに答えていくことは難しい。初心者の場合、何がわからないのかが伝わってこない場合が多く、それをすべてフォローするのは実際には不可能。当社がオンラインで提供しているサービスは、こうした初心者に使い方を理解してもらうような性格をもつサイトではないのではないか」

 多くの意見が寄せられるからこその悩みもあるようだ。

 店頭で販売されるパッケージソフト市場がシュリンクし、ソフトウェアメーカーとしての主戦場がオンラインになっていくのではないかとの意見もある。

 「パッケージソフト市場がシュリンクしている原因は、オンラインの台頭というよりもパソコンへのバンドルが増え、パッケージを購入しなくても使えるソフトがすでにあるという環境になっていることに原因があるのではないか。オンライン市場の影響ということではないと思う」という。

 オンラインソフトの世界は、個人が自分でホームページを作り、そこからソフトを提供するという形態になったことで、参入するための敷居は低くなっている。

 実際に真摯にユーザーフォローを行う個人も増えているようだ。

 「ビジネスというよりも趣味の延長として考えている人も多い。もちろん、趣味といっても、パッケージに比べいち早くウィンドウズXPに対応するなどアグレッシブな部分があるが、オンラインで手に入れることができるだけあって、サイズが小さい、細かいソフトが多いことも確か」だという。

 小川統轄部長の話を聞くと、多くの人が考えているよりも、パッケージがオンラインに置き換わるまでには、まだまだ大きな壁があることを感じざるを得ない。(三浦優子)