店頭でASPを

 ASPサービスを提供する一件楽着インターネットサービスは、店頭を活用してASPを利用する顧客を増やすプロモーションを開始した。

 同社は中小企業をターゲットにした業務ソフトをASP形態で提供することにこだわった企業である。店頭を活用した営業活動を行う意図はどこにあるのか。

 「ラオックスのソフト売り場に立って、店頭を訪れるお客さんを相手にプロモーションをした結果、店頭を訪れる中小企業ユーザーのIT化はこちらが予想している以上に進んでいないことがわかった。まさに当社が狙っている層が店頭に来ているわけだが、ブロードバンドに対応できているユーザーはほとんどいない。店頭に立って、ユーザーの実状に触れることができた」と、同社の販売推進部長である川村尚人取締役は指摘する。

 ASPに特化し物販を行わない同社だが、ネットワークだけでは得ることができない顧客の実状を店頭で知る機会を得た。

 「実際に店頭に立っていると、予想以上にお客さんのIT化が進展していないことは事実ではあるものの、逆にきちんと工夫をすれば、店頭でもASPサービスを売っていくことができるという感触も得ることができた」と、手応えも感じている。

 ASPという形態にこだわる同社が店頭でどのようなセールスを行うというのだろう。

 「社内で色々と議論した結果、ISPが店頭を使って進めているプロモーションと同じようなプロモーションをしようということになった。しかし、CD-ROMを制作して配布したこともあるのだが、あまり反応がよくない。そこで敢えてCD-ROMでなく、パンフレットを配布していく。CD-ROMを配ると、当社のサービスがASPではなく、通常のソフトと混同されてしまう。あくまで、インターネット上で提供するサービスなのだという点を強調するための施策を採用した」

 このパンフレットには、サービスに関する説明が書かれており、後ろのページにはホームページのアドレスが書かれている。ここに書かれたアドレスにアクセスし、申し込みコードを入力することで、どの店舗で申し込んだユーザーなのかを確認することができる。

 「このパンフレットを見てもらえばわかるが、敢えてこの中ではASPという文字は一言も使っていない。IT化が全く進展していない利用者層にとって、ASPのようなIT業界の用語を使ってアピールしても、このサービスを使ってもらえるようにはならない。むしろ、当社のサービスは日時限定で無料利用できるという点をアピールしていく方がターゲットに届く」

 中小企業ユーザーのIT化は、最も進展していない分野である。この市場をどう攻略すべきか、多くの企業がそこに挑戦し、市場開拓策に関しては様々な議論がある。ASPも市場攻略の1つとして提案されることもある。

 確かに低価格でサービス提供が可能で、店頭に行かなくても利用できる手軽さが利点だとされてきたわけだが、実際にサービスを提供する企業が、「店頭でプロモーションをすることは有効」という実感を得たことは非常に示唆的である。

 ブロードバンド化が進んでも、店頭が有効であるという事実は今後も変わらないのではないだろうか。(三浦優子)