視点

ネット上に黄金はあるか

2002/03/18 16:41

 エコノミスト誌が「インターネットに黄金はあるのか?」という記事を掲載したのは、1994年の夏の終わりであった。あれから7年半、ドッグイヤーで言えば50年以上たったことになる。インターネットに黄金はあったのだろうか。資金が枯渇して破産申請に追い込まれた企業に投資した人は、「黄金はなかった」と言うだろうが、ネットビジネスブームの初期にドットコム企業に投資してバブルがはじける前に売却した投資家や、ストックオプションをタイミングよく行使したドットコム企業の経営者は、そうは思っていないだろう。

 例えば、NASDAQ総合株価指数がピークを迎える直前に上場したBUY.COMの株を1株35ドルで購入して売り時を逸した投資家は、最終的に投資金額の99.5%を失ったことになる。しかし、業績悪化を理由に01年3月にヤフーのCEOを辞任したティム・クーグルは、01年11月にストックオプションを行使して3200万ドルの利益を得たと言われている。かつてイーベイと並んで、ドットコム企業の成功例として取り上げられることの多かったヤフーは、一般会計原則ベースで5四半期連続の赤字決算を続けているのだが、それとこれとは別の話らしい。また、ベンチャーキャピタルから得た巨額の資金を使い果たして破産申告を余儀なくされたドットコム企業が山ほどある一方で、開業以来ずっと黒字決算を続けているイーベイのような企業もある。イーベイの株をもつベンチャーキャピタルや創業者、経営陣は大資産家であり、ストックオプションの権利をもつ従業員もそれなりのお金持ちになったはずである。

 さて、実世界でも金脈を探す山師がみんな大金もちになったわけではない。19世紀半ばのゴールドラッシュでも、お金持ちになったのは、採鉱用の道具を売った人や酒場の経営者、ジーンズをつくったリーバイ・ストラウスだと言われている。それに、インターネット革命はまだ始まったばかりで、ネットバブルの崩壊はインターネット革命の「始まりの終わり」に過ぎない。インターネットに金鉱を見つけられるチャンスはまだまだあるに違いない。自分に運と才覚があると思うならば、大いに挑戦する価値はあるのではないだろうか。
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