政府や地方自治体など行政機関の窓口に出向いて行っていた申請や届出などの行政手続を、ITを使ってオンラインでも簡単にできるようにする――。これが電子政府・電子自治体の最も判りやすいイメージだろう。

 行政手続オンライン化に向けた基盤整備は、認証基盤の確立(01年6月から一部運用)、電子データの取り扱いなど政府統一仕様の策定(01年8月)と進められ、今月中にも国会に提出される、いわゆる「行政手続オンライン化法案」の成立でほぼ整うことになる。

 オンライン化法は、紙の書面で行ってきた行政手続を、書面に加えてオンラインによる電子データでも可能になるように法整備を行うのが目的だ。

 行政手続は法令で規定されており、それらの法令では手続きを書面で行うと規定されているケースが多い。

 国レベルで所管しているものだけで1万件以上ある行政手続について、規定する法令を逐一、変更するのでは大変な労力が必要となる。そのため、オンライン化法で一気に網をかけようというわけだ。

 新法では、書面で行う申請などを電子データでも行えるようにするオンライン化可能規定と、到達時期の規定などを定める。

 到達時期とは、電子データがどこまで到達したときに、相手方に書面が提出したと見なすかを定義する。行政担当者がパソコンなどでデータの到着を確認しなくても、行政側のサーバーに電子データが到達した時点で書面が提出されたと見なすことになる見通しだ。

 一方、対面により本人確認が必要な行政手続については、適用除外規定を設ける。また、すでにオンライン化のための措置を講じている工業所有権特例法や税関手続特例法なども新法の対象から外すとともに、新法によって網をかけられない、個別対応が必要なケースについては整備法を制定する考えだ。

 申請・届出という種類の行政手続は、国レベルで約1万1000件、地方レベルで約5000件ある。現在国レベルでオンライン化されている手続きは約400件。当初計画では、1万1000件のうち、02年度中に全体の35%に当たる4000件弱をオンライン化する計画だったが、昨年11月に政府がまとめた「e-Japan重点計画の加速・前倒し」で、オンライン化実施の一層の前倒しをすることになった。

 目下、各省庁で前倒しのためのアクションプラン策定を進めているところだ。

 さらには、国民・企業などと行政機関の間でのオンライン化だけでなく、会計検査院や人事院などと各省庁といった行政機関同士の手続や、公正取引委員会の準司法的な手続もアクションプランの対象とし、現在、行政機関同士の手続の洗い出しとオンライン化のスケジュールについて検討が進められている。

 最後に残るのが、印紙などで納付していた行政サービスの手数料をどう徴収するかという問題である。

 財務省では歳入金電子納付システムの開発を進めており、04年1月にはシステムの運用を開始する予定。それに先立って、02年度からは民間金融機関による公共料金等収納インフラの整備を進めていく計画だ。