進化するECビジネス

<進化するECビジネス>千葉県産業振興センター 千葉県に特化し中小企業のビジネスを促進

2002/05/27 16:18

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

千葉県に特化し中小企業のビジネスを促進



 千葉県産業振興センターの経営支援部情報センター(生越雅彦理事長)は、2002年3月29日に「千葉県ベイサイドカタログパーク・ちばビジネスネット」を立ち上げ、中小企業のIT化支援を強化した。同サイトは、千葉県の中小企業を対象に、会員企業をカテゴリー別で分け、サイト閲覧者が会員企業を検索しやすいように仕上げた。会員企業は今年4月末の時点で102社。今後は、検索カテゴリーを増やすことで取り引きの活性化に注力する。将来的には、会員数1000社を達成することを目指す。

97年にプロジェクト開始企業のネット活用を促す

 千葉県産業振興センター・経営支援部情報センターが「千葉県ベイサイドカタログパーク・ちばネット」のプロジェクトに着手したのは、97年10月に遡る。企業のインターネット活用を促進するために、「インターネットビジネス活用研究会」を発足したことが発端だ。同研究会では、インターネットに興味をもつ企業を集め、各企業にインターネットビジネスのノウハウを指導するなど、インターネットに関する基本的な研究活動を行った。初年度にあたる97年度(98年3月期)は、同研究会内で効果的なホームページ作成についての実務研修を実施した。これには中小企業の経営者を中心に約20人が参加した。

 98年度には参加者が約40人に増え、インターネットビジネスに関するセミナー(年2回)やホームページ作成講座(同6回)などの研究活動を実施した。この活動により、中小企業では、BtoBやBtoCなどのビジネス取引に効果的に結びつくポータルサイトづくりの気運が高まったという。そのため、同研究会では、実際のビジネス取引をつくりこむことを目的とした「電子カタログモール化構想」を打ち出した。この構想では、18社の企業が参加。ホームページの効果的な作成方法について1年間で6回の研究会を実施し、参加企業が電子カタログや自社ホームページ作成に注力した。99年10月には、研究成果を盛り込んだ「千葉県ベイサイドカタログパーク」を実験的に立ち上げた。現在の「千葉県ベイサイドカタログパーク・ちばネット」の前身である。同サイトでは、00年3月末時点で約1500万円の受注につながった。

 00年度からは参加企業が50社に増加し、実践的な電子カタログの作成を目的とした研究会を1年間で6回実施。01年3月末には、受注額が約4500万円を達成した。その後、同産業振興センターでは、「インターネットビジネス活用研究会」の実験的活動がある程度の成果を収めたと判断し、研究会事業を00年度をもって終了した。01年度は、研究活動を実施しなかったものの、研究成果であるカタログページの掲載を続けた。こうした取り組みを経て、02年3月29日に公開参加型の電子カタログモールづくりを目的とした「千葉県ベイサイドパーク・ちばネット」が立ち上がったのである。

4月末時点で102社が参加将来的には1000社を目指す

 「千葉県ベイサイドカタログパーク・ちばビジネスネット」は、千葉県の中小企業を対象に、自社ホームページとメールアドレスをもつ企業であれば、無料で掲載できる。同産業振興センターの経営支援部でIT支援グループリーダーを担当する新行内光裕副参事は、「企業としては、サイトを見てもらうための入り口がたくさんあったほうがメリットとなる。当サイトは、中小企業自身がもっている自社のホームページとは別の、もう1つの入り口」と位置づける。同サイトは、サイト内を仮想のデパートに見立て、サイト閲覧者が検索しやすいように、「金属製品製造業」コーナーや「衣料品、日用品の製造・販売」コーナー、「情報サービス関連」コーナーなど10カテゴリー別のコーナーを設けた。

 サイト閲覧者は、企業や一般消費者を対象とし、各コーナーから参加企業を検索できる。「とにかく多くのユーザーに閲覧してもらい、BtoBやBtoCを促す」ことを狙いとした。また、中小企業のIT化を促進するため、接続料が無料のプロバイダサービス「ちば-NET」も提供している。このサービスでは、コンテンツBOXの貸し出しによるホームページの無料掲載や約2000件の人材データベース、千葉県内約1万6000社の企業データなどの各種データベースの利用が可能だ。加入企業数は1100社を超えている。千葉県の中小企業のIT化については、「インターネットに接続している企業は多いが、自社ホームページを立ち上げている企業や、インターネットがビジネスにつながっている企業は少ない」と指摘する。

 昨年末に千葉県内の企業3000社を対象に実施したアンケートでは、「コンピュータ機器を活用している」が90%以上、「インターネット利用率」が80%以上であるものの、「ホームページを立ち上げている」が49.8%、「ホームページにより受注につながった」が約16%という結果だった。ホームページを立ち上げていない理由は、「更新・運用する技術者がいないから」が50%だという。「千葉ベイサイドカタログパーク・ちばビジネスネット」は、今年4月末の時点で、102社の企業が参加している。今後は、「サイトの知名度を上げることと、コーナーのカテゴリーを細分化し、該当企業の枠を広げることで参加企業の増加に注力する。1000社を達成することが当面の目標だ」と意気込む。(佐相彰彦●取材/文)
  • 1