実践 新規公開株 投資のポイント

<実践 新規公開株 投資のポイント>16(最終回).IPO市場の魅力

2002/06/24 16:18

週刊BCN 2002年06月24日vol.946掲載

 新規公開株(IPO)投資の魅力を充分に味わうためには、通常の株式投資とは少し異なった投資情報を判断する必要がある。テクニカル的な手法では、出来高のチェックや初値を付けたあとの株価動向によって、その後の値動きや投資チャンスを探る方法がある。しかし、株式投資に「絶対」はない。テクニカルアナリストのなかには、「株式投資は記憶力による効果が大きい」という指摘もある。これは、過去の事象や、繰り返し現れる現象をいち早く察知することであり、平たく言えば「経験則」ということになる。マーケット規模の小さいIPOにも相場の循環があり、投資のタイミングがある。

 投資に関する情報は、その情報を自分以外の投資家がどのような解釈をするのか、ということを想像するためにも必要となる。株式は難しいというイメージが強いが、どんな証券会社のアナリストでも、得意なセクター(事業分野)に関連する銘柄についてレポートを書いている。発行済み株数の違いによる「大型株」、「中型株」、「IPOを含めた小型株」のほか、東証1部、JASDAQ(店頭)市場というように、それぞれが見ている市場は限られている。4000を超える銘柄数をインプットできないのと同じで、自分に合った投資対象を見つけて研究すれば、短期間で相当の成果を出すことも可能だ。

 マーケット・ウォークでは、IPO市場に焦点を絞って、銘柄の特徴、株価の特徴、チャートの特徴などを検証している。過去のデータや特徴を調べながら、IPOの初値予想や上場後の株価動向についてレポートを出している。さらに2002年6月からは、「IPOファンクラブ(http://www.marketwalk.co.jp/)」を創設。メンバーにはIPO投資に必要な情報提供の一方で、メンバー同士の情報交換などを通じて、少しでも高い収益機会の提供を目的としている。

 スタートは素人の集まりでも、時間経過とともに、証券会社のプロに匹敵するか、それを上回る情報の共有と投資手法を身につけることができると確信している。

 メンバーから送られてくるIPO投資の秘訣談は、予想以上にレベルが高く、今回の連載にもいくつかその手法を交えて紹介した。

 IPO投資の魅力は、大口で売買する機関投資家の参加が少なく、大きなリスクを回避する努力さえ惜しまなければ、個人の努力が報われる傾向が強いことと、短期間で大きな収益を出すこともできるチャンスが多いことにある。IPO市場を活用する個人投資家は今後も増え続けるに違いない。
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