ITブームが華やかだった頃、企業間の電子商取引「BtoB」が中小企業のIT化を推進する原動力になるとの見方があった。インターネット環境と受発注などの基幹業務システムが結び付き、IT化の突破口になると見られていたのだ。しかし、ITブームの収束とともにBtoBへの期待感は薄れつつある。

 だが、一時ほどの華やかさはないが、BtoBは着実に中小企業の在り方を変えつつあるようだ。例えば、IT化と無縁に思われていた中小の飲食店でも、変化の兆しが現れている。

 飲食店向けサプライ販売のオリエント・キャピタルは今秋、BtoBサービス「まとめて.COM」を開始した。飲食店向け木炭の販売で急成長した同社が、2万6000店の取引先や物流基盤を生かして、割箸やナプキンなどサプライ品の通信販売に乗り出した。販促キャンペーン2週間で3000店の会員登録があり、反響は大きかったようだ。

 確かに、現状、ほとんどの飲食店にはネット接続環境がない。登録した3000店のうちウェブ経由で受発注するのは2割程度で、電話・FAXが主流だ。

 そこで同社は、ネット接続可能なウィンドウズベースのPOS(販売時点情報管理)端末を開発、会員企業に斡旋していく。「一般的なPOS製品の3分の1程度の価格、導入の障壁は低い」(前川博之取締役)と見て、年内にも発売する。

 受発注をウェブ経由にするだけでなく、同社はそのウェブサービスを活用して、飲食店向け業務のASPも提供する。「中小の飲食店は仕入れや売り上げ管理の電子化が遅れている」(同)と、ウェブ上で業務処理を一元管理できるようにする。そのウェブサービスは物流を担当する佐川急便のシステムとも連携しており、発注した商品の所在をウェブ上で即時的に追跡することが可能だ。

 ウェブが入ることで、飲食店の現場がガラリと変わる可能性があることを示すサービスである。もちろん、この1つの事例をもってして、全国に90万店あると見られる飲食店のIT化が進んでいると言うつもりはない。ただ、それでもインターネットを基盤としたBtoBが徐々に中小の在り方を変えつつあるのは間違いない。