前号では、業務アプリケーションの側面から中小企業のIT化を推し進めるオービックビジネスコンサルタント(OBC)の動向を取り上げた。その同社が現在最も力を入れるのがブロードバンド対応製品である。今まさに、企業の中にブロードバンドインフラが浸透し始めている。

 その意味で、ITインフラの側面からは、ソフトバンクがベンダーとして一躍大きな存在になってきた。こう言うと、大方の読者は意外に感じるかもしれない。「確かに、ヤフー!BBで会員を増やしているが、一般消費者が中心。法人向けでは存在感が薄い」と。ましてや2003年3月期の9月中間決算も連結最終損益で558億円の赤字を出している同社に、それだけの体力はあるのかと。

 では、ソフトバンクの可能性を検証してみたい。まず、同社は現在、ものすごい勢いでヤフー!BB会員を増やしている。「首都圏で展開する街頭販促部隊が1日に獲得する契約数は1万5000件前後。休日ならば2万件を上回る」(同社関係者)と言う。年度内にヤフー!BB事業の損益分岐点とする会員200万人に達する勢いだ(10月末現在は121万回線)。となると、同社は国内で初めて純粋なIPキャリアとしての地位を手に入れる可能性がある。

 その上でソフトバンクは、法人向けサービス基盤の拡充も密かに進めている。同社は最近、大手ITベンダーからデータセンターを丸ごと買い取った。詳細は明らかにしていないが、「法人向けハウジングサービスの拠点になる」(同)と見られる。しかも、単なるインターネットサーバーの運用管理ではなく、IP電話を含む通信設備全般の総合運用管理サービスを目指しているようだ。

 ソフトバンクが法人市場に本腰を入れ始めたのは、先に発表となったグループ会社再編にも表れている。ヤフー!BB事業を運営する子会社ビー・ビー・テクノロジーが、ソフトバンク・コマース、ソフトバンクネットワークスを吸収する。その狙いの中には、「弱かった法人向けサービスの企画や営業の強化を含んでいる」(同)と言う。

 国内初の“純”IPキャリアとして、ソフトバンクが法人市場に対しどのような営業攻勢を仕掛けてくるのか、注目される。