HDDそのまま棄てないで!

<HDDそのまま棄てないで!>8.故障したパソコンのデータ消去

2002/11/25 16:18

週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載

 前回までは、パソコンが正常に稼働しているという前提で、データ消去法についてお話してきた。しかし、必ずしもデータ消去する対象であるパソコンが正常に稼動しているとは限らない。今回は、正常に稼働しないパソコンのデータ消去法についてご説明する。パソコンは正常に稼働しないがHDDに問題はないというケースと、HDD自体が故障しているケースの2つについて考えてみよう。まず、パソコンは正常に稼働しないがHDDには問題がないというケース。この場合も、これまでご説明した専用ソフトウェアを使ってデータを上書きし、消去するという方法をとることができる。

 まずHDDをパソコンから取り出し、そのHDDを正常に稼働しているパソコンに接続し直す。この状態であれば、専用ソフトウェアを使ってデータを塗り潰すことも可能だ。しかし、正常に稼働するパソコンが他に見つからない場合はこの方法が使えない。この場合、専用の装置による電気的・磁気的にデータを塗りつぶす方法、あるいはHDD自体を物理的に破壊するという方法でデータを消去することになる。しかし、専用ソフトを使ってのデータ消去より手間がかかるうえ、専用装置を購入するなどコストもかかる。できれば他のパソコンに接続し直してデータ上書きという方法をとりたい。

 次に、HDD自体にトラブルがあって正常に稼働しないというケース。この場合は、他のパソコンに接続しても正常に稼働しないので、専用ソフトウェアを使ってのデータ消去はあきらめるより仕方ない。また、専用の装置を使って電気的・磁気的な消去を実行しようとしても、HDD自体がすでに動かなくなっているので、データを消去するのは困難だ。つまり、HDDを物理的に破壊してしまうという方法しか残されていないということになる。

 上記のように、データの消去方法は、パソコンやHDDの稼働状態などによって対応方法が大きく異なってくる。HDDを取り出すなど、ある程度パソコンのハードウェアに関する知識をもっていないと、専用装置による消去方法や破壊した後の処理がきちんと実行できない。自分のスキルなどを再検討し、現状にあった適切なデータ消去方法を選択しよう。その際、自分ではうまく処理しきれないと判断したら、専用サービスを利用するという手もある。次回は、データ消去を専門としているサービスとその内容についてご紹介しよう。(有限会社マイカ 取締役 井上真花)
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