国内ITベンダーの中で現在、中小企業のITマーケットに最も力を入れているのが、マイクロソフトであることは、誰も異論がないだろう。「IT体験キャラバン」と称し、大型トラックで47都道府県をくまなく回る啓蒙キャンペーンは、すでに19回目を数えた(11月26日現在)。このほかにも「IT実践塾」、「全国ITお助けガイド」などの啓蒙促進活動を地道に続ける。

 だが、その効果や意図については懐疑的な見方がある。「マイクロソフトぐらい資金的に余裕のある会社だから、費用対効果を気にせず、あんな大掛かりなことができる」(大手コンピュータメーカー営業幹部)。

 「(啓蒙キャンペーンの中では)自社製品をアピールしないと言っても、中小企業がIT化すれば、自然とマイクロソフト製品が売れる。狙いは見え見え」(業務ソフトメーカー幹部)。

 あえてマイクロソフトを擁護するわけではないが、懐疑的な見方の多くは“妬み”に近い。

 マイクロソフトの資金が豊富なのは事実だが、社員1人当たりの生産性は、どこの国内ITベンダーよりも厳しく追求している。実際、一連の啓蒙キャンペーンを担当しているのは驚くほど少人数だ。

 企業がIT化する過程で、マイクロソフト製品を導入するのは、それに代わる製品がないからだ。好き嫌いの次元を超えて、それが現実なのである。

 マイクロソフト幹部の1人は、「e-Japan構想の本来の目的は、デジタルデバイド(情報格差)の解消だったはず。それが国内ITベンダーは電子政府や電子自治体の大型案件ばかりに力を入れて、IT化が遅れる中小企業のことなど目もくれない」と語る。

 もちろん、かく言うマイクロソフトも電子政府、電子自治体には並々ならぬ営業パワーを注ぎ込んでいる。ただ一方で、決して効率の良いやり方ではないが(それ以外のやり方が見つからない)、取り残された層に向けて、地道に啓蒙活動を続ける。このバランスが重要なのではないか。

 国内ITベンダーがどこも目先のリストラに追われ、身動きが取れないなかで、“国を憂う”外資系メーカーが1社でもあったことを、有難く思う必要があるかもしれない。