2002年8月、デルコンピュータが米SMB(中小企業)市場で30%シェアをもつノンブランドのホワイトボックスパソコンを投入してから3か月を経た11月、SMB市場専念のソリューションプロバイダ(SP)のデル戦略に対する評価は真っ二つに分かれている。デルのホワイトボックスを手掛けるSPたちは、「デスクトップに続いて、03年春にホワイトボックスサーバーを投入するとデルから聞かされている」と、これに対する期待の声を弾ませている。

デルのホワイトボックス戦略

 彼らはこれまでは自らホワイトボックスを組み立てていたが、生産に有能社員の手をとられていることを嫌って、少々の利益犠牲も覚悟のうえで、デルからの調達に切り代えている。デルのホワイトボックスサーバーはデル「PowerEdge(パワーエッジ)」をベースとする。デルのホワイトボックスを販売するシステムインテグレータ(SIer)、テキサスコンサルティングのベア・サウル社長は、「来年早々サーバーでもデルホワイトボックスを売れることで、わが社内製造は全て中止でき、きわめて有り難い」と語る。

 一方、巨大ディストリビュータ「テック・データ」プロダクトマーケティング担当リッチ・ペレイラ副社長によると、同社取引先でホワイトボックス販売をするSPは殆どデルに興味を示していないか、逆に反感を強めているようだ。多くのホワイトボックスビルダーは、「デルのホワイトボックスはプロフィッタブルビジネスを低マージン商売にするだけの効果しかない」と発言する。しかしデルの同市場参入は「ホワイトボックスというこれまで日陰者を日向に引っ張り出した。この意味でデルの同戦略は諸刃の剣だ」と語る。

 また日常デルと競合するあるSP経営者は、「デルのホワイトボックス価格499ドルは、デルブランドより高い。しかもデルブランドの方がはるかに高性能デスクトップだ」と前置きし、「デルはホワイトボックスとSPの力でSMB経営者を誘い込み、その後は得意の直販でデルブランドを売りまくるつもりだろう」とデルへの反感を露にする。またSPたちのデルへの不満は、「デルがホワイトボックスを中大企業、行政機関、学校市場へ販売することを強く禁止していること」にも集中している。これに違反したSPは即刻デルとの契約は破棄されることになっているからだ。

 小中学校を主力市場に自社製ホワイトボックスを大量に販売しているSP、システックのブロー・アラン社長は、「わが社も数少ない有能SE自らがホワイトボックス製造に手をとられているのでデル製に切り代えたい。しかし、わが社の市場は教育現場だけで、さらにわが社の社員数は30人だ。従業員20人以下、売上高500万ドル以下のSPにしかデルホワイトボックスは扱わせないとのデル方針に反してデルとは契約できない」と語る。デルはホワイトボックス投入でこれまで敵対関係にあったSP達に心を開かせ、これまで未開拓であったSMB市場のカバー率を高めようとしている。しかし、多くのSPはデルへの警戒心をなかなかゆるめようとしないのが実態である。(中野英嗣●文)