ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>5 ビジネス・インフラの依存度

2003/02/03 16:04

週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載

 前回は、“リスクの洗い出しとインパクトの評価”という過程における業務プロセスの洗い出しと、その優先順位付けの作業について紹介した。そこでは、部門横断でプロジェクトチームを構成することと、部門間、企業間をまたがる業務プロセスに注意して業務プロセスを分析することという2点の重要性を説明した。

 今回は、それらの重要性の高い業務がどのようなビジネス・インフラに依存しているのかを分析する作業について考えてみる。この作業の目的は、社内の重要な業務とそれに必要なビジネス・インフラとの関連づけのマトリクスを作ることである。つまり、「Aという業務を行うためには、サーバーBとサーバーCとネットワークFが稼働している必要がある」という条件が、それぞれの重要な業務においてリストアップされるということである。

 インターネットなどの社外ネットワークや取引先のシステムなど、自社外のITインフラと連携または依存している場合は、それについても業務との関連性を把握しておく必要がある。現在のIT化の進んだビジネス環境においては、1つの業務プロセスを完了するまでに多くのITインフラを経由している。例えば“受注処理”の場合、1件の受注手続きを完了するまでには、注文データ入力のためには受注台帳システム、在庫引き当てのためには在庫管理システム、配送手配のためには物流管理システムなど、数多くのアプリケーションが必要となる。

 現在の分散処理環境では、1つのアプリケーションが複数のITインフラによって構成されていることも多く、ITインフラのどれか1つが機能停止した場合、その業務が停止してしまうリスクを抱えている。“ビジネス・プロセスの重要性”、“ビジネス・コンティニュイティ”という視点から、それぞれのITインフラの重要性や価値を正しく把握しておくことが、ディザスタ・リカバリ対策への最適な投資計画を構築するために最も重要な要素である。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョン コンサルティングディレクター 宮下 毅)
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