“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>22.内田洋行

2003/09/22 20:43

週刊BCN 2003年09月22日vol.1007掲載

 内田洋行(向井眞一社長)が、統合業務システム「スーパーカクテルシリーズ」の業種特化を強めている。昨年度(2003年7月期)は、同シリーズ販売本数約600本のうち、(1)食品業、(2)梱包資材業、(3)サービス業の3分野の占める比率が、一昨年度(02年7月期)の約4割から一気に約6割に高まった。

業種特化で落ち込みを阻止

 昨年度の同シリーズ全体の販売は、販売金額で前年度比約10%増えたものの、販売本数では微減となった。これは、同シリーズの主なターゲットである中小企業市場が冷え込んだため。そこで、これをカバーするため、業種特化に力を入れてきた。その結果、売り上げの約6割を上記3業種が占めるまでになった。

 スーパーカクテル事業を担当する村田義篤・情報システム事業部営業推進部営業推進課長は、「この3業種を積極的に伸ばすことができたため、全体としての底上げとなり、販売本数も微減に食い止めることができた」と話す。

 食品業者は、1つの地域に大小多数の業者が事業を営んでおり、販売本数を伸ばすうえで有利だ。また、衛生を重視する食品業と切り離せないのが梱包資材業。食品業者は複数の梱包資材会社から食品を包む梱包材を仕入れているケースが多い。

 このため、食品業で好評を得られれば、梱包資材業者にもスーパーカクテルの納入が進む。逆に、梱包資材業者に食品業者を紹介してもらうこともあるという。

 内田洋行では、これを「業際を攻める」と表現し、事業者と事業者の取り引きの合間=業際を埋めていくことでシェア拡大を達成した。

 一方、サービス業向けの拡販は、ある種、意表をついた作戦だ。スーパーカクテルは販売管理に強い。商品を仕入れて販売する事業形態に適している。このため、広告代理店など在庫を持たないサービス業には、既成の販売管理システムは合わなかった。

 そこで、“サービス=人が動く”部分を可視化し、あたかも「在庫管理」をするように「サービスを管理」できる仕組みを強化した。

 今年度(04年7月期)も引き続き業種特化を進め、販売本数、金額ともに10%増を狙う。また、ウェブサービスなど、次世代情報システムへの対応にも力を入れる。

 年内には次期スーパーカクテルの仕様をまとめ、来年以降、開発に着手する予定だ。(安藤章司)
  • 1