立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>19.ソニーの調達プロセスへのRN標準導入

2004/01/12 16:18

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 ソニーでの本格的なロゼッタネット(RN)標準の導入は2002年1月より始まった。最初にコンデンサ・抵抗などの部品会社15社とソニー中京圏4工場との集中ASAP取引(Vender Management Inventoryの1種)から導入が開始された。導入に際し、3月にはソリューション担当者の説明会、各社との接続実験を経て、7月末には15社すべてとの間でロゼッタネット標準への移行が完了した。その後、図のように、さまざまな実務レベルのビジネスプロセスのプロジェクトを立ち上げ、ロゼッタネット標準の導入を進めてきた。その結果、03年10月末でロゼッタネット標準を導入したパートナー数は140社に拡大、それに伴いVAN-EDIの運用を廃止した。

 現在ロゼッタネット標準を介したソニーの購入比率は、金額ベースで日本国内を中心に6000-7000億円になっている。ここに至るまでに、ソニーではパートナー企業各社の担当者向けの説明会に加えて、パートナー企業のトップにもご理解いただき、さらにロゼッタネット標準の普及促進を目的に、ライブデモを交えた“ロゼッタネット相互接続フェスタ(RosettaNet Interoperability Festa)”を02年度3回(5月東京、9月名古屋、10月大阪)、03年度2回(東京)開催してきた。

 本格導入から1年経過した現在、一部のパートナー企業では基幹システムとの接続を完成させ、「ソニーから送付されるきめ細かい需要予測情報を活用し、ソニー向けの在庫を大幅に圧縮できた」との成果も報告されている。このことはロゼッタネット標準を介して交換されるビジネス情報・データを自動的に基幹システムに取り込み、それらを基幹システムの中で活用し、在庫削減、TAT(Turn Around Time)短縮、工数削減につなげるように改革を推進した企業が大きな成果を得ている証明と言える。

 こうした基幹システムに及ぶ改革には時間と費用を要するが、その効果は非常に大きなものになって返ってくる。また、ロゼッタネット標準導入時のコスト・準備期間を削減するために、ロゼッタネットジャパン内で、ソニーも含めて買い手側と売り手側の双方が一緒にワーキンググループを構成し、ロゼッタネット標準の導入及び運用に際してのガイドラインを作成している。こうしたノウハウを公開していくことで、ロゼッタネット標準がより導入しやすくなることを期待している。(ソニーイーエムシーエス グローバルプロキュアメント本部 ロゼッタネットジャパン運営委員副委員長 内藤 紀明)

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