“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>37.システムソリューションセンターとちぎ

2004/01/19 20:43

週刊BCN 2004年01月19日vol.1023掲載

 オープンシステムなどの相互接続試験などを目的に、国や栃木県、民間企業などが出資する第三セクター、システムソリューションセンターとちぎ(SSCT、石尾弘美社長)は、「テスティング事業」のノウハウを生かしたシステム構築に力を入れている。

強みはテスティング事業

 テスティング事業とは、デジタル機器などの互換性検証などの試験。1993年の設立以来10年あまり事業運営を通じてノウハウを培ってきた。パソコン関連やデジタルカメラ、プリンタなどに加えて、近年はデジタル家電のネットワーク機能などの互換性試験を多数受注している。

 これら互換性試験に従事する技術者は約20人おり、7-8年の経験を持つ熟練技術者が大半を占める。同社では、これら技術基盤の強みを生かし、ウェブアプリケーションやLinux系のオープンシステム、ASPサービスなどのシステム構築事業の拡大に取り組んでいる。

 たとえば、ウェブアプリケーション構築時には、ブラウザとの互換性試験が欠かせない。パソコン用ブラウザやPDA(携帯情報端末)、携帯電話など、複数のブラウザに対応させる場合の動作検証作業は独特のノウハウが必要だ。この部分で、SSCTがこれまで培ってきた強みが発揮される。

 ここ数年、需要が高まっている携帯電話向けのウェブアプリケーション構築では、SSCT社内に約150台用意してある動作検証用の携帯電話が活躍する。古い機種から最新の機種まで一通り揃えており、ウェブアプリケーションの構築に役立てている。これら検証用の携帯電話を活用することで、完成度の高いシステム構築を可能にした。

 また、最近のデジタル機器の組み込みソフトでは、LinuxやJavaなどオープン系のシステムであることが多い。これらの互換性試験のノウハウをリナックスなどオープン系のシステム構築に役立てる。

 昨年11月、県内の大手システムインテグレータであるTKCが県内に新設した大型データセンター「TKCインターネット・サービスセンター(TISC)」のサーバーラックを賃借することもすでに決まっており、ASPサービスなどTISCを使った新しいシステム構築の受注にも力を入れる。

 大塚雅永・テスティング事業部長は、「ここ10年来のテスティングのノウハウをフルに生かしたシステムインテグレーション事業を強化することで事業の拡大を目指す」と意気盛んだ。(安藤章司)
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