立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>25.クロスボーダーVMI WG(上)発足の経緯

2004/02/23 16:18

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

 ロゼッタネットジャパン(RNJ)では2003年夏に「クロスボーダーVMI WG(ワーキンググループ)」を新しく立ち上げた。参加企業はバイヤー、サプライヤー、物流企業およびソリューションベンダーなど多岐に渡り、04年2月現在で25社・団体の50人余りの方々が参加者リストに名を連ねている。このWG設立の背景には、いくつかの注目すべき内外の動向がある。

 まず外的要因としては、台湾やマレーシアにおいて国際物流効率化の検討が盛んになり、ロゼッタネット標準の具体的な導入効果が報告され始めたことが挙げられる。また、ロゼッタネットのグローバルな組織として「Logistics Council」が創設された事実も重要である。

 ここにはDHL、UPS、Exelなどの世界的な物流企業が参加して、顧客との情報交換プロセスの改善を図るだけでなく、物流企業相互のXMLによるB2B連携を実現して、業界全体のIT化のレベルを大きく底上げすることが企画されている。次に内的要因としては、バイヤー(セットメーカー)が指定する倉庫の在庫を、サプライヤー(部品メーカー)がコントロールする、いわゆるVMI(Vendor Managed Inventory)のビジネスモデル導入が拡大している事実が挙げられる。特に電子部品業界においては、最終製品(例:デジタルカメラ)のライフサイクルがどんどん短くなる一方で、部品(例:LCD制御回路)の高機能化・高価格化が急速に進んでいるため、陳腐化を避けるためにも在庫を極力抑えることが売買双方の共通目標になりつつある。

 さらに、中国をはじめとする海外での生産委託や部品供給・調達の拡大により、国境をまたぐクロスボーダーなVMIのオペレーションを迅速かつ確実に行なう必要性が増しているのが実情である。VMIを輸出入プロセスと結びつけた場合、その中心には「保税倉庫」が位置する。この保税倉庫の最適な運用ができれば、キャッシュフローを改善し企業の競争力を強化できるはずである。

 しかし、VMIの運用方法はバイヤーごとに違いが見られる。また、保税倉庫を設置する国や地域で事情が異なり、法律の解釈などでも未知数の部分が多く見受けられる。本WGは最新の情報を交換するとともに、様々な課題の解決方法を真剣に検討している。より具体的な活動内容と成果については、次回に詳しくご報告したい。(インテル ロゼッタネットジャパン クロスボーダーVMI WG主査 木村 一仁)

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