変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>9.日立情報システムズ

2004/03/01 20:43

週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載

 日立グループの中でも、SMB(中堅・中小企業向けビジネス)に強く、年商100億円規模の企業と自治体を中心顧客にシステム構築や運用アウトソーシングサービスを手がける日立情報システムズ。同社の収益の柱は、各地のデータセンターを活用したアウトソーシングサービスにある。

アウトソーシングサービスで収益確保

 2003年6月、「シールド」のブランド名で、セキュリティソリューションを初めて体系化しセキュリティビジネスを本格展開。セキュリティシステムの構築や自社開発製品の販売、運用保守サービスなど、4つのビジネスモデルを打ち出した。セキュリティ専門のシステムエンジニア(SE)を約60人体制で組織し、各案件にセキュリティが絡むようであれば、そのたびにこのSE集団が携わる横断的な部署だ。

 もともと、セキュリティを含めたネットワークインテグレーションは得意分野ではなかった。しかし、01年10月にネットワーク構築の日立情報ネットワークを吸収合併したことで、セキュリティビジネスを手がけられる体制を築いた。 「利益の源泉となっているアウトソーシングサービス」(本川祐治・ネットワークインテグレーション本部セキュリティソリューション部部長)の強みは、現在12か所のデータセンターを保有する設備の充実にある。

 データセンターを運営する日立ネットビジネスを吸収合併する今年4月1日からは、データセンターの数は19拠点にまで拡大することになり、ライバルを数では圧倒する。日立情報システムズは、データセンターを利用しセキュリティシステムの脆弱性判断から、ウイルス対策、ログイン認証、アクセス履歴情報取得サービスなど、企業のセキュリティを一手に引き受ける総合的なラインアップを揃えている。

 メイン顧客である中小企業では、セキュリティ専門のシステム管理者がいないのが当たり前だけに、アウトソーシングのニーズも高い。システム構築よりも利益率が高いアウトソーシングサービスを手がけられる体制が整っていることが、利益確保に大きく寄与しており、「セキュリティビジネス全体の売り上げの半分以上をアウトソーシングが占める」(本川部長)ほどだ。このほか、セキュリティポリシーの作成サービスや、セキュリティ情報提供サービスなどの上流工程のサービスも順調に推移しており、アウトソーシングを中心としたサービスでセキュリティビジネスを成長させている。(木村剛士)
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