変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>11.ヒューコム

2004/03/15 16:18

週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載

 ヒューコムは、モデムやファイアウォールなどの代理販売およびセキュリティを含めたネットワーク構築事業で成長してきた。1986年創業と、ネットワークセキュリティ分野では“老舗”ベンダーだ。現在の売り上げの中心は、大手システムインテグレータが受注したシステム構築案件のセキュリティやネットワーク分野を請け負うシステム構築事業。下請けという立場は、「自主性が発揮できない」(井上陽一社長)という理由から、エンドユーザーへの直販事業の拡大を目指す。セキュリティニーズが多様化するなか、従来のセキュリティビジネスに加え、新たな成長エンジンとしてサービスビジネスに力を入れている。

サービスメニューで勝負

 企業のセキュリティ対策には、「セキュリティポリシーの作成と的確な運用」、「物理的対策」、「人的対策」、そして「情報システム対策」の4分野すべてを網羅する必要がある、と井上社長は強調する。機器販売やシステム構築ビジネスに加え、新たにサービス分野に需要があると確信し、直販ビジネス拡大の営業フィールドとしてサービス分野を選んだ。サービス事業は、2002年夏から本格的に参入。社内の営業体制もサービスビジネスに特化したセクションをこの時期に合わせて組織化した。まずは、ユーザーの情報システムを遠隔監視し、ファイアウォールの運用監視やオンラインウイルスチェックサービス、ログ解析サービスなどの外部アタック対策サービスから始めた。

 最近では、外部アタック対策から、内部からの情報漏えい防止といった企業のマネジメントにセキュリティニーズが移行していることから、サービス分野への参入企業も増えている。このためヒューコムでは、(1)コンサルティング、(2)監査、(3)教育の3分野──を新たな差別化要素として、急速にサービスメニューを増やしている。コンサルティングでは、セキュリティポリシーや個人情報保護ポリシーの策定支援、「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性評価制度」の認証取得支援などをラインアップ。監査では、経済産業省の「情報セキュリティ監査制度」を活用した監査サービス。そして、教育分野では、井上社長自身が理事長を務めるセキュリティ・エデュケーショナル・アライアンス・ジャパン(SEA/J)が提供する教育プログラムを活用した技術者育成サービスを用意した。直販事業のメインターゲットに据えている中小企業ユーザーに対して、セキュリティ対策を包括的に提供できる体制を整え、直販ビジネスの拡大を狙っている。(木村剛士)
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