変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>13.日本電子計算(JIP)

2004/03/29 20:43

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 一般企業の情報システムに加え、自治体や証券・金融機関向けのシステム構築に強い日本電子計算(JIP)。自治体と証券・金融分野のシステム構築事業が売上高約400億円(昨年度)の約60%を占める。一般企業市場では、社員数1000人前後の大企業をメインターゲットに売り上げの約20%を稼ぐ。大企業ユーザーを中心に、IT投資が活発化する傾向にある。だが、投資対効果が見えにくいセキュリティ分野では、「ユーザーは必要性は感じているものの、実際に予算化する額が小さすぎる。成長市場と言われるが、当社の(セキュリティ関連の)売り上げは横ばいで歯痒い状態が続いている」(田辺照男・取締役ネットソリューション事業部長)という。証券・金融、自治体市場をみても、この状況は変わらない。

システムの保守・運用を強化

 JIPのセキュリティビジネスは、ネットワーク構築事業を請け負うネットソリューション事業部が担当する。JIPでは、自治体向けシステム構築の公共システム事業部や、金融証券事業部など、顧客ごとに事業部を分け、営業からシステム構築、運用保守まで手がける体制をとっている。セキュリティを含めたネットワーク構築関連事業は、「どの分野にも必ず必要なインフラ」(田辺取締役)として、約4年前にネットワーク構築事業だけを切り出したネットソリューション事業部を組織した。従来、それぞれの事業部が担当していたネットワーク関連事業を一手に引き受ける横断的な部署を作ることで、ノウハウや知識の共有を図った。セキュリティビジネス強化プロジェクトもこの時期に開始し、本格的にセキュリティをネットワーク構築のなかで、中核ビジネスと位置づけた。

 だが、ユーザーの投資額が小さいセキュリティビジネスだけあって、「製品販売やシステム構築だけでは、ビジネスの成長性、収益性は望めない」(田辺取締役)とし、約1年前からセキュリティビジネスの戦略を大きく方針転換している。それが従来の製品販売、システム構築からの脱却であり、ユーザーに代わってシステム運用保守を行うマネジメントサービスの強化だ。ここ1年間で、セキュリティサービスの充実を図り、データセンターを利用した運用監視サービスやコンサルティングサービスなど、18個のメニューを迅速に揃え、扱う製品数と同等の数を用意した。セキュリティメーカー16社との提携のほか、自社以外のサービス提供として、セキュリティサービスベンダーとの提携にも積極的に動き、現在8社と協業体制を築いており、サービスビジネスへのシフトを急いでいる。(木村剛士)
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