IT Stock Frontline

ハイテク株人気

2004/05/03 16:04

週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載

好決算期待で堅調

富士通が急伸

 富士通が急伸。4月22日に2004年3月期の業績見込みを上方修正、未定としていた期末配当を3円として2期ぶりに復配する計画を発表したことが好感された。

 前3月期の連結最終損益は厚生年金基金の代行返上益、固定資産売却益の計上で従来予想を200億円上回る500億円の黒字(前期は1220億円の赤字)。特別利益を計上する一方で、不採算が続く北米での人員削減や不健全資産の売却などの構造改革を実施したほか、04年度と05年度の不採算プロジェクトに絡む損失見込み額を前倒し計上している。「負の遺産」前倒し処理がポジティブに受け止められた。

 日立、東芝、NEC、松下電器産業など総合電機各社は4月に入り株価が相次いで年初来高値を更新しているが、富士通は1月の高値739円まで距離を残していた。業績や財務内容に対する不透明感から最も出遅れていたが、今後は株価に修正の動きが本格化しそうだ。

 株式市場では、これまで人気の中心だった銀行、不動産など内需株の勢いが止まり、ハイテク株の強さが目立っている。為替相場が1ドル=109円台と円安水準で落ち着いてきたほか、米国ハイテク企業の1-3月期決算は好調で株価が堅調なこと、そして日本のハイテク企業にも好業績への期待が膨らんでいることが株価上昇を支えている。

 とくに、デジタル家電の恩恵を受ける企業が注目されている。パイオニアはPDP(プラズマディスプレイパネル)テレビやDVDレコーダーの好調で05年3月期の営業利益は20%程度増加する見通し。また、シャープは株価が00年6月以来の2000円台回復となったが、4月末には大型液晶パネルを生産する亀山工場(三重県)が竣工した。37インチの液晶パネルが6枚取れる「第6世代」のガラス基板を扱う世界唯一の工場として話題を集めている。

 このほか、京セラ、ヒロセ電機、新光電工、日東電工など株価が年初来高値を更新する企業は電子部品や半導体関連などセクターが横に広がっている。(有賀勝久)
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