“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>66.日本情報通信

2004/08/23 20:43

週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載

 日本情報通信(富田修二社長)は、IBM製ミドルウェアの卸販売を8月1日から本格的に開始した。これまでPCサーバーを中心としたIBM製ハードウェアの卸販売は手がけてきたが、ミドルウェアの卸販売を始めるのは今回が初めてだ。ハードウェアの卸販売先は、現在、全国に約110社ほどあるが、既存の販売網もフルに活用することでミドルウェアの拡販に力を入れる。

代理店網の活用進め事業拡大へ

 同社は、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)とNTTが折半出資で設立したシステムインテグレータ。NTTグループ向けのIBMソリューションの販売以外に、2次代理店向けの卸販売も手がけている。オープン化でハードウェアの差別化が難しくなるなか、日本IBMのシェアを維持するためにはミドルウェアを含めたトータルな2次代理店支援が欠かせないと判断。今回、新しくミドルウェアの卸販売を始めた。

 さらに、2次代理店網を持つ強みと、NTTグループとの太いパイプを持つ強みとの相乗効果を図るため、今後は、NTTグループが持つ情報通信系ソリューションの2次代理店を経由した拡販に力を入れる。具体的には、IBM製のグループウェアのノーツと、NTTグループのIP電話(VoIP)の技術を組み合わせた複合ソリューションや、セキュリティ製品などを2次代理店経由で拡販する。

 富田社長は、「日本IBMやNTTグループが持つソリューション製品を、代理店網をフル活用して広く普及させる」と、親会社の製品やソリューションのシェア拡大に貢献する考えを示す。日本情報通信では、ハードウェアやミドルウェア、VoIP、セキュリティなどの要素技術を総合的にサポートすることで、2次代理店の提案力を高めて競争力の増強を図る。

 一方、もう1つの事業の柱であるシステムインテグレーションについては、NTTグループの顧客先との取引の比率を増やすことで事業の拡大を進める。

 昨年度(2004年3月期)は、売上高約465億円のうち約半分をNTTグループ向けが占めていた。NTTグループ内のIBMソリューション需要だけでなく、今後は、NTTグループの顧客企業に向けても、NTTグループと連携してIBMソリューションを売り込む。

 NTTグループに向けた関連の売上高のうち、昨年度は約15%がNTTグループの顧客企業に納入した比率だった。ここ2-3年のうちに、この比率を2倍の30%に高める方針だ。(安藤章司)
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