変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>39.インフォコム

2004/10/11 20:43

週刊BCN 2004年10月11日vol.1059掲載

 中堅システムインテグレータのインフォコムは、セキュリティビジネスの中核ツールに、脆弱性を突く不正プログラムからOSを守るセキュアOS「ピットブル」を置いている。開発元は、米アーガスシステムズグループ(イリノイ州)で、インフォコムが1999年に日本市場での独占販売契約を結び、直接販売とパートナー経由の販売を手がけている。

SMB開拓をセキュアOSで

 セキュアOSは、外部からの不正プログラムを遮断する機能を提供するのではなく、万が一OSの脆弱性を突かれても、OS上で不正な動作をさせないように利用制御をかけ、OSのセキュリティを強化するアドオンソフト。

 しかし、既存システムに実装するには、高い技術と豊富な経験が必要なことから、広く普及しているとはいえなかった。森義彦・モバイルインターネット本部ContactChannel部セキュリティグループ課長も、「機密性の高い情報を扱う政府機関、また一般企業でもウェブサーバーなどの公開サーバーなどに導入は限られていた」と話す。しかし、多発する個人情報漏えい事故と個人情報保護法の施行により、一般企業のセキュアOSへの関心も高まっている。この1年間で、「一般企業から、基幹系システムなどにも導入したいという要望が増えている」(森課長)。

 この状況を好機と見て、顧客の裾野を一気に拡大しようと、中堅・中小企業への導入を意識した容易な設定に加え、価格をスタンダードモデルよりも半額程度に抑えたエントリーモデル「ピットブルプラス」を昨年後半にリリースした。これまでに直販で約300サーバーへの納入実績があり、その大半が「一般企業からの引き合い」(久後眞紀・モバイル・インターネット本部ビジネスポータル部セキュリティグループ副課長)という。また、「従業員50-60人規模の企業でも導入している」(同)と、ユーザーの裾野が順調に拡大していることに自信をみせる。

 同社では、このエントリーモデルの販売にさらに拍車をかけるため、「ピットブルプラス」専用のパートナープログラムを新設し、パートナー網の構築に動き出している。「設定の容易さは、エンドユーザーだけにメリットがあるわけではない。複雑な知識を持たないITベンダーでも十分販売できる商材になる」(森課長)というのが、その理由だ。これまでスタンダードモデルでは、CRCソリューションズとヒューコム、日本高信頼性システムの3社に販売パートナーを限定し販売展開していたが、ビットブルプラスに関しては、直販に加え今後約10社のパートナーを募る計画。販路を一気に広げ、約1000ライセンスの販売を目指す考えだ。(木村剛士)
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