未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>47.サイバーテック

2005/10/10 20:43

週刊BCN 2005年10月10日vol.1108掲載

積極的にオフショア開発導入

 ソフト開発ベンチャーのサイバーテック(橋元賢次代表取締役)は、受託ソフト開発事業でオフショア開発を積極的に取り入れている。大手・中堅ITベンダーを中心に活用が進むオフショア開発だが、サイバーテックは、ベンチャーながら2年前から中国ソフト開発企業へ委託を始めており、高収益体制の確立に動き出している。

 事業内容は、(1)パッケージソフトの提供、(2)パッケージソフトを活用したASP(アプリケーションの期間貸し)サービス、(3)ITベンダーなどからの下請け開発──の3つが中心となっている。

 10月中旬から、ソニックソフトウェアのXMLデータベース製品「ソニックXIS」の営業権を譲り受け、「パッケージソフトメーカーとしてのブランドもさらに強くしていく」(三田一雄・マーケティング推進室室長)方針だが、今年度(2006年3月期)の売上予想約3億2000万円のうち、受託ソフト開発事業が1億7000万円となる見通し。下請けでの受託開発ビジネスへの依存度はまだまだ高い。

 ITベンダーからの低価格化要求が強まってきた約2年前、利益を確保するための開発コスト削減策を模索するなかで、オフショア開発に目を着けた。中国のソフトハウスに開発の下流工程を委託し始めたのだ。当初は思い通りにコストを削減できず、「試行錯誤を繰り返しながら」(白井千晶・取締役ソフトウェア開発事業部長)、オフショア開発を活用するためのノウハウを2年かけて蓄積した。「将来的には請け負った開発案件の約半分は海外に委託したい」(白井取締役)としており、フィリピンでも委託できそうな現地ソフト開発企業を探し始めている。

 白井取締役は、オフショア開発を活用するコスト削減以外のメリットをこう話す。「技術者をまとまって確保できることが中国の大きなメリット。今の日本では、それが困難な状況にある」。また、「オフショア開発では、(日本の下請け先よりも)仕様をしっかり詰めたり、工程管理を細部にわたって行わなければならないため、自社の技術者がプロジェクトマネジメント能力を身に付けるのに良い」と説明。人材教育にも寄与するという。

 オフショア開発を有効活用できる体制が整ったことで、今後は積極的に企業からの直接取引を増やしていく方針。サポート体制や保守・運用人員を確保し、受託ソフト開発事業において、「5年後には全体の半分をエンドユーザーからの売り上げで稼ぎたい」(白井取締役)と目標を定めている。(木村剛士)
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