未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>71.オープンソフトウェア

2006/04/03 20:43

週刊BCN 2006年04月03日vol.1132掲載

通販業専門ERPをASPで

 オープンソフトウェア(木下篤郎社長)は、通信販売業向けERPの開発に特化し、そのソフトウェアをASPで提供するスタイルにこだわるソフト開発ベンチャーだ。

 今でこそビジネスをASPサービスに絞ったが、96年に初期版のソフトを開発してから5年ほどは、通販業向けERPをパッケージソフト「ペリーダイレクト」として販売していた。しかし、「今後、ASPがソフトウェア提供方法として主流になる」(光田一徳・メディアネットワークリーダー)という予測と、「パッケージ用とASPサービス用の両方で『ペリーダイレクト』を開発していくのは開発担当者に負担がかかりすぎる」との判断から、パッケージの開発・販売を一切行わない方針を決めた。

 01年にペリーダイレクトをASPサービス「アナザーランド・サポート」として販売開始して以来、約5年間で100社、1500クライアントに利用されている。月額5万円から利用できるなど、中堅・中小の通販会社でも対応できる価格設定とした。主要ターゲットは小規模事業所においているが、飲料メーカーのヤクルト本社など大手企業もユーザーに名を連ねる。

 「通販業に必要な機能をすべて揃えている」ことがアナザーランド・サポートの強みで、パッケージとして販売していた時も、ユーザーの要望に合わせてカスタマイズ開発したケースは一切なかったという。

 基本機能のほか、ユーザーが欲しい機能を選んで利用できるオプションサービスを40種類以上揃えていることが武器だ。さまざまな受注方法でも情報を一元管理でき、倉庫の在庫情報や物流会社との連携、請求・入金処理、顧客情報管理などの管理業務もカバーする。

 販売体制は、代理店経由での販売は手がけず、すべて直販で提供する。営業担当者は数人しかいなく、一気に顧客を増やすことはできないが、顧客との接点を持つことで、「新機能の開発のヒントになる」ことがメリットであるため、直販を貫く。

 今よりもネットワークインフラが整備されていなかった時でも、ASPサービスの可能性にかけて事業を継続してきたオープンソフトウェア。ASPサービスを手がけて5年を超える実績と、通販業を専門で開発してきたことで築き上げた「きめ細かな機能」を武器に、まずは導入企業を今年度(06年10月期)120社、来年度には150社に伸ばす計画。あくまで直販主体で着実な成長を目指す。(木村剛士)
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