ダイハツ九州の中津進出や大分キヤノンの工場新設など、製造拠点の新増設が相次ぐ大分県。設備投資が盛んな民需を主体に活動するSIerが多く、国内オフショア開発や派遣にリソースを割く余裕がない点では、他県に比べて恵まれている。それでも、大分発全国区のソリューション開発には熱心だ。(光と影PART IX・特別取材班)

主要企業の工場進出が相次ぎ SIも地場密着型がメインか

■生産管理系システムに活路見出す

 日本テキサス・インスツルメンツが製造拠点を置いたことから、シリコンアイランドのなかでも熊本県と並んで半導体・電子部品の製造が盛んな大分県。ほかにも東芝セミコンダクターや大分キヤノンなどの大規模工場があり、近年では中津市にダイハツ九州が進出するなど、県内総生産に占める第二次産業の割合は他県に比べてかなり高いのが特徴だ。

 一方で、いわゆる平成の大合併によって別府市、津久見市、姫島村、日出町、玖珠郡を除くすべての市町村が合併し、市町村数は2006年3月31日の国東市誕生の時点で、18市町村にまで減った。04年12月31日までは58市町村だったから、まさに激減といっていい。もちろん、このような県は全国にも例をみない。

 他県の例に漏れず、大分県でも自治体基幹システムは大手ベンダーおよびそのエンジニアリング会社にほぼ握られている。しかし、合併特例法の期限に合わせた自治体のシステム統合作業を、大分県自治体共同アウトソーシングセンター(通称・OLGO)が請け負うケースも少なくなかったと聞いた。OLGOは地場SIerのオーイーシーを中心に、富士通大分ソフトウェアラボラトリ、九州東芝エンジニアリング、新日鉄ソリューションズ大分の4社が共同で設立(04年2月)した企業で、今後は自治体からのシステム運用を中心に活動していく模様である。

 そんななかで、地場密着型を標榜し、民需に絞り込んで活動しているのが、三菱電機の子会社、メルハンコンピュータシステムだ。三菱電機が1県1ディーラー制をとっていることから、同社としても県内優先に営業を展開している。主力製品は介護保険対応の高齢者サービス支援システム「は~とケア」や、病院向け給食管理システム「Mr.献ダテマン」で、前者は県内シェアの40%程度を占めているそうだ。また、三菱保険薬局システム「調剤Melphin」の県内販売実績も100件近くに及んでいる。

 社会福祉法人や病院・薬局向けシステムと並んで事業の核となっているのが生産管理系のシステム構築で、活発な設備投資に支えられて需要も増加傾向にあるという。同社の木村馨システム部長は、「生産管理系の仕事が最も魅力的なので、この分野で確固とした足場を構築したい」と語る。それというのも、生産系では変更・増設・付随する人の管理・サブシステムなどシステムの上下に幅があり、いったん取引先から信用を得れば次の案件が期待できるからだ。「県内でも大手ベンダー系は強いが、小回りのきくSIerに仕事を頼みたいという中小企業は多く、当社はフットワークの良さを生かし納入後のフォローに万全を期している」。限りある経営リソースを生産系システムに投入する方針から、組み込みソフトや国内オフショアに手を出す予定はないようだ。

 大分ガスを親会社に持つオーガスも売り上げの8割を県内で確保し、国内オフショアや派遣には力を割いていない。同社は富士通のパートナー企業で、以前は自治体向け基幹システムを営業していたが、大合併が一段落した現在は部局が使うサブシステムや、土木建築・積算系システムの更新および増設などが官公需のメイン。主力の検針システムはガスだけでなく水道でも使われている。民需では別府市に本社を持ち、九州・中国地方で101店舗を展開する明林堂書店向けにPOSや会員サービスを含む流通システムを納入し、600万冊の書籍・雑誌の単品管理を担っている。

 その一方で同社は、施設情報管理システム「AUGUS ARENA」を保有し、県外売り上げのほとんどをこのソリューションから得ている。元々は自治体が所有するホールや会議室などの予約システムとして開発したパッケージで、91─92年頃までは主に県内の自治体を対象に販売してきた。

■全国向けソリューション開発にも熱心

 オーガスの「AUGUS ARENA」は、やがて「ホールでのイベントに対応してチケット発券管理機能や会員管理機能を付け加え、民需向けに営業を開始した95年に大阪の新歌舞伎座から受注。これを皮切りに鈴鹿サーキットなど大規模イベント施設からの注文が相次ぎ、全国で百数十か所にシステムを納入するまでになった」(荒木優成ソリューションビジネス部長)。たとえば、ドーム球場の多くが「AUGUS ARENA」のユーザーだ。最近では民需のほうが旺盛だがチケット発券管理を求めてリプレースする自治体も多く、官需・民需の比率はちょうど半々。「ぴあ」をはじめネットでの注文も普及したが、興業主にとってチケットの直売は利益を確保する最大の手段でもあるため、これからも需要は期待できそうだ。

 ビー・ビー・エフは、発起人で関係企業でもあった旧別府信用金庫(現・大分みらい信用金庫)からの紹介客を中心に、顧問料を得ながら地場企業のコンサルティングおよびシステム構築を手がけてきた。取引先は別府・大分・由布(旧・湯布院町)各市の病院・ホテル・中小企業などであるが、発足当時から独自のソリューションを保有していた。それは、自動車中古部品商の全国オンラインネットワークシステム「スーパーラインシステム」で、全国に100社近い会員企業を持っている。中古部品の供給サイドは解体業者およびその団体で、ユーザーは整備工場、自動車ディーラー、部品取扱業者である。中古部品がメインという関係から、商品マスターを作成して在庫管理を行うことが不可能なため、検索+単品管理+販売管理という機能構成がシステムとしての特徴で、売り上げの約7割はこのシステムによっている。

 こうした構築経験から、同社はオープンソース系のDBサーバーやインターネットVPNを使ったネットワークを得意としており、これからも個別企業の意向に添ったシステム構築を手がけていく考えだ。今井徳保システムマネージャーは「単品管理をメインとする販売管理、生産管理のノウハウを生かしつつ事業展開したい」と話す。同社は顧問料形式で業務を請け負った経験から、システムの使用料を徴収する形態も含めて地場企業への貢献を考えているようだ。