LSI開発の技術が中核に

データセンターでもシステム全体を開発

 日本システムウエアは、LSIの設計も行える数少ないソフト会社だ。そもそも組み込みソフトに進出したのは、LSIのファームウェアを開発していたのがきっかけだった。

 IPコア(半導体集積回路の知的資産部品)プロバイダ英ARMの「PrimeXsys(システムLSI設計)スペシャリスト」に、世界でも数少ないパートナーの1社として日本で初めて認定されている。それを強みにハードウェアと組み込みソフトを一括して請け負うスタイルで差別化を図ってきた。中島社長は、「ソフトのみならず、LSIなどのハード設計もできる。ここにこそ当社の強みがある」と強調する。

 こうしたファームウェアで培った技術を生かして、同社では品質管理や検証プロセスも含めて、新製品1機種の組み込みソフト開発を丸ごと請け負う提案に力を入れている。特定部分だけの開発に比べて、自社の強みを発揮しやすく、利益率も高いというメリットがあるからだ。

 LSIの開発のほか、データセンターを保有してサービス業務を展開していることも、数多い独立系ソフト会社のなかでは稀な存在だ。1998年に山梨県笛吹市に、03年に東京渋谷区に自前のデータセンターを開設。サーバー・ホスティングや遠隔監視サービスを始めたのをきっかけに、運用管理を受託するばかりでなく、アプリケーション開発から一貫するフルアウトソーシングに発展している。

  「データセンターとして単純なサービスを提供するのではなく、ユーザーのシステム全体を当社が設計、開発する。複雑化したシステムのコンソリデーション(整理・統合)や運用管理まで担当する」という。

 データセンターを核とした事業展開は、積極的な提案でビジネスチャンスを掘り起こす「ストック型ビジネス」への転換を促している。

 今後の注力事業の1つであるビデオ・オン・デマンド(VOD)システムは、「契約件数で業界トップ3に入る」と自負する。ターゲットは、ホテルの客室だ。大規模なホテルは、館内に映像サーバーを設置して運用するケースが多い。しかし200室以下の中小規模ホテルはASP型サービスを採用したほうがコストメリットが大きい。

 厚生労働省の調査によると、全国には約8800軒(客室数:68万室)のホテル、5万8000軒(同87万室)の旅館がある。このうち80%は200室以下の小規模ホテルとなれば、「潜在的な市場は無尽蔵」に近い。「フルアウトソーシングもVODサービスもリピートオーダーが見込めるストック型ビジネス。最初は大変だが、将来が楽しみな領域」というわけだ。「経常利益率が3%前後では、新規事業投資ができない。仮に決断しても、失敗が許されない。現在、当社の経常利益率は新規投資を織り込んだうえでの数字。数年内に10%台回復の基礎固めは終わった」──勝算あり、というところだ。(田沢理恵●取材/文)(次回はSRA)