IT Stock Frontline

IPOに明暗

2006/11/20 16:04

週刊BCN 2006年11月20日vol.1163掲載

新興市場では売買不成立も

 株式市場は、キヤノン、松下電器産業といった業績に不安のない優良株が引き続き人気を集める一方で、ジャスダックや東証マザーズといった新興市場の企業の株価は低迷が続いている。USENの大幅赤字、携帯電話コンテンツのインデックスの上場来初めての減益決算で、新興市場の成長力に対する不信感が頭をもたげてきているようだ。

 11月2日にネット広告代理店のメンバーズが名古屋証券取引所のベンチャー企業向け市場であるセントレックスに新規上場した。IPOでは人気の高いネット関連にもかかわらず、上場初日は売りが殺到して売買が成立しない異常事態に。結局、上場2日目に公募価格29万円を40%も下回る17万5000円で初値をつけた。2007年5月期の業績が減益予想にあるほか、PER(株価収益率)が46倍と割高なことがマイナス要因。同社と同じく主幹事が楽天証券で市場がセントレックスのオプトロム(10月26日上場)が、公募価格割れだったことも気になったようだ。投資家が神経質になっていることを裏付けた。

 メンバーズに先立って上場した企業はおしなべて順調。10月31日に東証マザーズに上場したネクストは公募価格22万円に対して29万8000円の初値。不動産の賃貸・売買情報を提供する不動産情報ポータルサイト「HOME’S」を運営している。同社は楽天の持ち分適用会社だ。「HOME’S」を不動産業者にASPで提供する不動産ポータル事業のほか、広告代理事業を手掛ける。

 また、10月25日に福岡証券取引所のQボードに上場したメディアファイブは公募価格14万円に対して初値は18万5000円。同社は、ソフトウェア開発に関するITエンジニアの提供、業務受託が主力。地盤である九州地域のコンピュータ会社などを顧客に持つ。(有賀勝久)
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