未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>112.ベイソフト

2007/02/05 20:44

週刊BCN 2007年02月05日vol.1173掲載

「販促」に特化したCRMソフト

 ベイソフト(福田光宏社長)は、顧客管理(CRM)ソフト「コンドル・ウィン」を展開する。

 福田社長は、1年間ソフトウェア開発会社に勤めたあと、フリーのプログラマを4年間続けた。景気の低迷により、一度はソフト開発から別の職業へと転職せざるを得なかった苦い経験を持つ。転職先の先輩に「優秀な人材ならば時代背景がどうであれ必要とされる」と言われ、一念発起。個人事業主として再びソフトウェア開発の道を選んだ。

 コンドル・ウィンをリリースしたのは2005年10月。当時から「受託開発をしながら、自社製品を市場に送り出してみたい」との思いを抱いてきた。

 コンドル・ウィンは、小規模事業者向けのCRM管理ソフト。市場で販売されているソフトは、「大企業向けが多く、導入コストは高額。小規模事業者でも導入できるソフトはないかと探したが、見あたらなかった」のが開発のきっかけとなった。05年10月に無償版をリリースした後、翌年6月に有償版を2万4800円で発売した。いずれもダウンロードで展開し、累計販売数は2800本にのぼる。

 「ほかのソフトに比べると販促機能に特化している」同ソフトは、顧客管理と来店記録をもとに販促を行う。DMのラベル印刷のほか、アウトルックと連動し顧客に対してメールを一括送信するため、使い慣れたメーラーでの販促活動が可能。また、無料電話ソフト「Skype(スカイプ)」と連動し、顧客の固定電話に電話をかけることやメガソフトのSTARFAXとの連動で、FAXの一括送信が可能などの機能がある。

 今年1月からは、ソフトウェアとPC、ポイントカード発行機、宛名ラベルプリンタなど販促活動に用いるハードをセットにして販売を開始した。「通常の販促と呼ばれているメール、電話、FAXをすべてこのシステムで賄うことができる」。顧客から電話がきたときもCTI(電話、FAXをコンピュータに統合する技術)で対応可能だ。「管理するだけだと意味はない。顧客情報を活用し売り上げにつながるシステムとして提供していきたい」。宿泊施設や美容院サロンを中心に売り込みをかけ、1年間で50社への導入を目指す。

 今後は3か月かけてSIerやコンサルタント会社に代理販売を働きかけ、販路を開拓する。

 前期の売上高は6000万円(06年9月末)だが、3年後に2億円を目指す。いずれ受託と自社製品の売り上げ比率を半々にしたい考えだ。また、「携帯端末系のビジネスも将来的にはやりたい」。小規模事業者向け市場で、日本一の知名度を誇る企業になるのが目標だ。(鍋島蓉子)
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