オープン化移行計画を遂行

メインフレームを完全撤去

 OSSの活用や仕様書の自前作成、地場企業への発注といった施策を打ち、ITコストの抑制を進めてきた長崎県。システムのダウンサイジング、オープン化にも積極的に取り組んだ。高額な運用費用を要するメインフレームを撤去してクライアント/サーバー(C/S)型システムへの移行計画を着々と進めている。

 長崎県は2002年から本格的なダウンサイジング作業を開始。NEC製のメインフレーム2台を撤去してC/S型のオープンシステムへの移行を目指し計画をスタートさせた。計画前の02年に長崎県が抱えていたコストは9億9100万円。これを03年には1台のメインフレームを撤去して6億9400万円まで削減した。2017年には2億7100万円にまで抑制する計画だ。順調に進めば、他の都道府県ではみられないコスト削減が実現することになる。

 長崎県のこうした一連のシステム削減計画、大手コンピュータメーカーからの依存体質脱却は、先進的であるだけに他の自治体からの関心が高まった。IT施策立案を指揮する島村秀世・総務部理事は、「他の自治体からどのように進めているかの意見を求められたり、見学に来る人が増えている」と実情を語る。「無謀だとする声もあった」(島村理事)だけに、着々と成果をあげている長崎県は、自治体のITコスト削減に向けた挑戦の成功事例のひとつといってもよいだろう。

 ただ、その一方でこうした取り組みに対し難色を示す声もある。地場のITベンダーだ。大手コンピュータメーカーから地場企業に発注が回る仕組みができたが、案件が細分化され規模が小さいため、利益捻出が難しくもっと大型の案件を受注したいとの意見が、一部の地場ITベンダーから出ている。県の案件を受注するよりも、民間企業の案件を受注したほうがビジネスとしては、“旨み”があるというわけだ。島村理事は、この意見に対し、「小規模な案件だけに大きな利益が出ないという意見は理解できる。ただ、長崎県のシステムを受注することで、新たなスキルが身につき、開発の幅が広がる効果も見込める。地場ITベンダーの考え方が各社によって異なるのは当然で参加するかは各社の自由」と説明する。

 新しい取り組みだけに賛否両論があるのは当然だろう。しかし、島村理事は方針を変える姿勢はみせていない。長崎県の取り組みは、自治体の新たなIT戦略を提唱したとともに、各地方にあるITベンダーのビジネス戦略を問いただすきっかけにもなっている。長崎県の今後の計画、そして地場のITベンダーのビジネスが今後どのように移り変わっていくか。注目に値する自治体であることは間違いない。(木村剛士●取材/文)